超一流ヨーデル歌手がネタに全力 富山の謎アニメ「ヨーデルの女」に迫る
超一流ヨーデル歌手、北川さんにも聞いてみた
プロが本気でネタに取り組んでいる姿は、とても面白いものだが、北川さんのキャリアをみると、ちょっとすごい。
スイス連邦ヨーデルフェストで2008、14、17年に1級最高級クラス受賞。2018年にはベルンヨーデルフェスト1級最高級クラス受賞。ドイツでは2011年にアジア人ヨーデル歌手として初めてミュンヘンオクトーバーフェストに出演し、2012、13、17と出演し続けている。はっきり言って、本場で認められた超一流だ。
「ちょっとヨーデル歌いません? アニメのネタなんですけど」、と頼める気がしないのだが、なぜ引き受けたのだろう。Jタウンネットはなんと北川さんにもお話を伺うことができた。
「私は楽しいことは大好きなので、このヨーデルの女のお話は面白いなと思い、喜んで受けさせていただきました」
さらに北川さんは、ヨーデルの根底にあるのは「面白い」という気持ちだったのでは、と指摘する。
「そもそもヨーデルも最初は牧童たちのひとりが、変わった発声で牛などを呼んでいたところ、『それ面白いな』と皆が真似をし、そのうちに歌へと進化していった、そんな日常の中の『遊び』から生まれてきたものだとされています。お祈りや合唱にも発展していきましたが、その根底にあるのは面白いという気持ちではないでしょうか。アニメで歌うことも同じだと思っています」
ネタがネタだけに、人によっては結構心に刺さる雰囲気にもなってしまいそうなのだが、北川さんは明るく朗らかに笑い飛ばし、言われたほうも笑える余地を残すことを意識して歌っているという。
「早いテンポなので、きつく攻めた感じにならないように注意しています。ヨーデルの魅力は、人が非日常を感じて、楽しいと思うところ。『人の笑顔が広がる魔法の歌』だと思っています。私は、人の笑顔が広がる瞬間が、何よりも好きなんです」
是非とも北川さんのヨーデルを聞きたくなってくる。そして、本場が認めたヨーデルのネタが楽しめるチューリップテレビ――を擁する富山に、俄然興味が湧いてくるのではないだろうか。