「小イワシの刺身が食べたい」 広島出身記者は、築地へ向かった
7回洗うと鯛にレベルアップする説
「カタクチイワシなんか煮干しとか目刺しでいくらでも食べられるでしょ」と思われるかもしれないが、広島で小イワシを食べる場合は刺身か天ぷらがメジャーだ。ちなみに「音戸ちりめん」などの名称で販売されているのは、小イワシの稚魚であることが多い。
刺身といってもサクにするようなサイズでもないので、1尾の小イワシの身を両面から削ぐようにして取り、ひたすら水洗いをする。洗うことでイワシ臭さと鱗取りを兼ねているのだ。この水洗いの過程が非常に重要で、ローカルことわざ(?)で「7回洗えば鯛の味」と言われるほど。
記者も祖母や母親からさんざんこの言葉を聞かされてきた。本当に味が鯛と同等かは個人の好みによるとして、生姜醤油で食べる小イワシの刺身が絶品であることは間違いない。「広島の特産品の海産物といえば」と聞かれたら、記者個人としては牡蠣より小イワシ推し。食べないと損していると断言しておきたい。
そんな小イワシだが、上京してから魚屋の店先で生のものが売られているのを記者は見たことがない(これは記者の行動範囲が狭いだけかもしれないが)。というか、小イワシの刺身を口にした記憶がない。別に東京だからということではないのか、編集部周辺の地方出身記者たちに話を聞いてみても、「カタクチイワシを刺身で食べないでしょう」という反応が返ってくる。
魚の中では鮮度の低下が早いイワシを刺身で食べるには、漁場が近くにあり、鮮度の高いものをすぐ入手する必要がある。そもそも条件に合った地域が限られてはいると思うのだが、一般的ではないのだろうか。だが、記者は食べたいのだ。できればすぐにでも入手して、晩酌の肴にしたい。