移住しても良いかもッ! 即完売の北九州市「くらし体験ツアー」に参加してみた
最大1か月の「お試し居住」
北九州市では、移住検討者に向けた「お試し居住」の取り組みが行われている。「お試し住居」では、メゾネットタイプの住居を、1週間1万円、最大1か月まで利用できる。
バス・トイレはもちろん、家電製品もそろっており、台所には食器も用意されている。最寄りの駅までも徒歩圏内、近くにはスーパーもあるので生活には困らない。常駐する移住コーディネーターが住居探しなどの相談に対応してくれるし、地域コミュニティーになじむためのイベントも企画されている。
2017年に「お試し居住」を利用した体験者の25%が、すでに18年4月時点で移住しているのはこんな手厚いサポートがあるからかもしれない。

「お試し住居」の最寄り駅は、徒歩10分程度の「スペースワールド駅」だ。名前の由来になったスペースワールドは惜しまれつつ昨年末で閉園。アトラクションが解体されている姿も見えた。駅名は当面そのままと発表されているが、これからどうなるのだろうか......?

移住すれば「ついのすみか」になるのだから、介護関連の情報も大切だ。特徴的な取り組みを行う特別養護老人ホーム「もやい聖友会」も見学した。ここにはコミュニティFMのスタジオやカフェレストランもあり、地域住民も多く利用している。学校が終わると学童たちが集まって、入居者と交流しており、地域の中で入居者を孤立させない工夫がされている。

今回のツアーでは、北九州市が持つ「都会」と「田舎」の両面の良さを体験できた。驚いたのは、都会的なJR小倉駅とは対照的に、中心部から車で30分前後で田舎の田園風景が広がることだ。しかし、そのような場所にもしっかりした交通インフラが整備されており、都会的な便利さが行き届いていた。
新幹線に乗れば、福岡市内まで15分という利便性。地震など自然災害のリスクも少ないとされ、子育てにも介護にもやさしい街でもある。海と山に囲まれた住環境、レトロ建築をはじめとする個性豊かな建築物、新鮮で安価な魚や野菜、寿司やうなぎといった「A級グルメ」と「ご当地グルメ」、さらには昭和の風情が残る「角打ち」――。
こうした色々な顔を持つ北九州市はまさに文化のカオス。一筋縄では行かないこの混沌さが人々を引き付ける魅力であり、これからも進化していくことだろう。まだまだ深掘りできそうな街だ。 <企画編集・Jタウンネット>