あの井上康生も練習に励んだ武道場! 滋賀の武徳殿、解体前にお別れ会
跡地の施設に、武徳殿を語り継ぐスペース設置へ
お別れ会では、武徳殿内部の見学会が開かれ、歴史を振り返る写真パネルや市民からのメッセージも展示された。

当日は、約600人の市民らが集まり、それぞれに思い出話をしたり、記念撮影をしたりして名残りを惜しんだ。地元で柔道をする子供たちも集まり、中には、道着を着て見学に来た人たちもいた。
メッセージは、フェイスブックなどで募集したところ、30人ほどから寄せられた。大正12年生まれの男性は、戦時中に中国へ出征したが、武徳殿で柔道をやったから生き延びられたと感謝していた。また、92歳の女性は、武徳殿が生まれてから解体するまで近所で見届けることになり、柔道をやっていなかったが寂しいと心情をつづっていた。
お別れ会実行委の元田栄三さんによると、井上康生さんも、武徳殿で練習していたといい、大会のときに武徳殿で撮った集合写真にその姿が写っていた
。「お別れ会は、まさに同窓会の雰囲気でした。私は、小学校4年生のときに昇級試験に受かり、3級の茶色い帯を付けたときはうれしかった。32、3年前にアメリカの学生に柔道を教えたのが、武徳殿での最後になりましたね」
なお、解体後には、跡地に県の医療・福祉施設が建設されることになっている。県の健康福祉政策課は3月26日、建築素材の一部を展示したり写真パネルでその歴史を振り返ったりして、武徳殿を後世に語り継ぐスペースを施設内に設置する予定だと取材に明かした。