なんで東北に肥満児は多いの? 専門家に聞いてみた
寒いと外に出たくなくなる。家の中に籠り、食べ物があれば食べる。食べ過ぎたけど寒いから運動はしたくない――。
冬が到来する度、誰もが一度はこんな経験があるのではなかろうか。
「寒い地方に住んでいる人は太っている人が多い」と言われることがある。実際、文部科学省が2017年12月22日に発表した「保健統計速報」のなかで、全国の11、14、17歳の男女の肥満傾向児の出現率は、東北地方が他の地方に比べ突出して高い。
このデータが気になった、東北出身のJタウンネット記者。自分は周囲から「スラっとしている」と言われることが多いぞ......。そこで、いったいなぜ東北に肥満児が多いのか、専門家に聞いてみた。
「昔から高い傾向」
今回発表された統計で定義されている肥満児傾向児とは、性別、年齢別、身長別標準体重を求め、肥満度が20%以上の人をいう。肥満度の計算方法は、[実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)]/身長別標準体重(kg)×100(%)だ。
2016年度の全国の平均値は、11歳男子(小学6年生)なら9.69%。ところが東北6県のうち、岩手、宮城、山形、福島の4県では13%以上。残り2県も10%以上13%未満となっている。
東北地方以外の多くが軒並み「7%未満」、「7%以上10%未満」であることから、やはり東北地方は平均よりも高い。
統計の中でも、「東北地方においては、従来より肥満傾向児の出現率は相対的に高い傾向がみられる」と分析されている。
Jタウンネット編集部が2018年1月16日、今回の統計調査に関わった東京女子医科大学名誉教授の村田光範氏に、東北地方に肥満児が多い理由について取材すると、
「昔から高い傾向が続いている。スクールバスで通ったり、友達の家まで2、3キロ離れていて同年代が周囲にいないため群れて遊べないからだ」
と話した。
「健康に支障が出ない範囲なら...」
だが、村田氏は「肥満児の数値だけにこだわっていては、肥満の本質は見えてこない」と強調する。
一般的に、肥満というのは悪いイメージがある。だが「肥満するということは、人の本質的な行為で、食べられない時にエネルギーを貯めておくために必要。健康に害を与える程度でなければ肥満であっても構わない」と話す。
また、ダイエットについても、例えば100キロの人が90キロになったからといってダイエットが成功した、というのは早計だという。リバウンドせずに数年間90キロを維持していれば健康管理ができており、初めてそこでダイエットが成功した、ということになる。
そして村田氏は、
「暑い地域に住む人は、体の表面積を広くして熱を放出するから、ずんぐりむっくりしている人が多い。一方で寒い地域の人は、体の表面積を小さくして熱を逃さないようにするから細い人が多い」
とも説明した。どうやら「寒い地方は太っている人が多いから、東北での肥満傾向児の出現率が高い」というわけではないようだ。