【Jタウン動画大賞】勝利宣言賞・東京都練馬区／「板橋区にはなんとなく勝てそう」

2017年は、それぞれの地方が工夫を凝らした「ご当地動画」が熱い1年だった。しかし、毎月、多くの動画がアップロードされる中、大きな注目を集めるのはその一部で、このまま埋もれてしまうのはあまりにももったいない......。

そこで、2017年の間に公開されたご当地PR動画の数々を振り返り、「これぞ」と思う作品を改めて紹介。2018年の引っ越し先や旅行先選びに役立つかは分からないが、ユニークな動画を取り上げた「Jタウン動画大賞」を勝手に開催する。

自虐系かと思いきや...意外なラスト

練馬区のPR動画「I ● 練馬あるある」（●はハートマーク）は、絵本仕立てで優しい雰囲気を漂わせた作品で、子供が内容を元気に読み上げるという形式も好印象だ。

一見ゆるい雰囲気のこの動画だが、最初のPRはお隣、板橋区への勝利宣言から始まる。

「練馬区は板橋区になんとなく勝てそうな気がする！」

練馬区は70年前に、板橋区の一部が独立したもの。いわば「親」とも言える板橋区に対し、同ランクではなく勝ったつもりだ、と堂々とアピールしているのだ。

更には「かんぜんにかってる！」「らくしょう！」といった煽りまで入れて、板橋区に対する勝利宣言を畳み掛ける。攻撃的だ。

と、滑り出しの勢いは良かったものの、その後は「でも港区には勝てる気がしない！」と落ち込み、区域の形について「練馬区はほとんどオーストラリアだ！でも大きさがぜんぜんちがう！」と続くなど、だんだん弱気になっていく。

最終的には勝ち負けやどこそこに似ているといったことではなく、練馬区の子育て環境が良いことや、ゆるキャラ「ねり丸」が人気なこと、練馬大根についてなど、身近なことについて触れ、

「住みたいのは、これまでもこれからも、このまち。」

と、ノスタルジックな夕日をバックに良い感じに締める。派手さが目立ちがちな地方PR動画界隈の中で、こうした地元民が満足している街だというのをさりげなく表現するのは貴重だ。逆に言うとそれだけではフックが弱いので、序盤の板橋区に対する勝利宣言で視聴者を掴もうという戦略は見事だ。よってここに、「勝利宣言賞」を勝手に与えることにする。