たしかに、ここは世界遺産だ! のぞけば見えてくる「VR観光」の最前線
提供元:佐賀県
地中の世界遺産をスコープで
佐賀市の三重津海軍所跡は、「見えない世界遺産」の異名を持つ。2015年に「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして、ユネスコの世界遺産に登録されたのだが、一見だだっ広い空き地だ。しかし、この地中には日本最古のドライドック(船の整備施設)が眠っている。木造のため、掘り起こすと劣化する恐れがあり、発掘調査後に埋め戻されたのだ。

三重津海軍所は1858年、佐賀藩によって開設された。江戸時代に福岡藩と交代で「長崎警備」にあたっていた佐賀藩は、鎖国下ながら西洋の軍事技術にも、強い関心を持っていた。そのノウハウを生かしたこの地では、監督である佐野常民のもと、日本初の実用蒸気船とされる「凌風丸(りょうふうまる)」を造船するなど、佐賀藩海軍の拠点となった。

そんな三重津海軍所跡の秘密兵器が、隣接する佐野常民記念館で無料貸し出している「みえつSCOPE(スコープ)」だ。耳にイヤホンをつけ、首からスコープをかける。「みどころスポット」へ近づくと、音声ガイダンスとともに、スコープ内にVR(仮想現実)映像が投影され、首を上下左右に動かすと、その角度から見えたであろう「160年前のパノラマ風景」がついてくる。
