もはや崖か壁... 都内イチの急斜面「のぞき坂」に行ってみた
東京都内には、あたかも車が落ちていくように見えるスポットが存在する。それが雑司ヶ谷から神田川方面に伸びる「のぞき坂」だ。
単なる坂の1つではあるのだが、その傾斜の急さと長さは都内有数な上に、下から眺めると壁の様に見えるという一見の価値がある場所だ。
アニメの舞台にもなった
高台になっている豊島区高田周辺は、南を流れる神田川に向けて急傾斜が形成されているため、急な坂がいくつも存在する。
その代表格とも言える「のぞき坂」は、明治通りと目白通りが交差する千登世橋(ちとせばし)からほど近い場所に存在する坂で、豊島区の公式サイトの解説によると、「東京で最も急な坂」とも言われているという。
どれくらい急かと言うと、上からは車が落ちていくかのように、下からは壁のように見えるのだ。
千登世橋の方から明治通りに下りるルートを使うと大回りになるためか、「のぞき坂」を通るのはタクシーがメインだった。恐らく慣れてはいるのだろうが、坂での急加速を防ぐためブレーキをかけながら下りているのが印象的だった。馬力が弱い車だと上り下りの際には苦労しそうだ。
記者も実際に上り下りで1往復歩いてみたところ、「雨と雪の日は絶対に避けたい道」という感想を持った。傾斜があまりにも急なため、しっかりと歩いていないと転んだりする可能性があるからだ。舗装されている分、登山とは比べるべくもなく楽ではあるが、日常の一部の坂としてはかなり急なものだろう。「東京で最も急な坂」という評価は伊達ではない。
ちなみに、一部の読者はピンときたかもしれないが、「のぞき坂」はアニメ「冴えない彼女の育て方」でも度々出てきた坂のモデルとなった場所でもある。なお急な坂が印象的な作品に「とらドラ!」もあるが、左右の建物がまったく一致しないため、あの坂のモデルではなさそうだ。
ジブリっぽい雰囲気の「胸突坂」
近くにある坂でもう1か所紹介したいのが「胸突坂(むなつきざか)」だ。近くに立つ説明版によると、「坂がけわしく、自分の胸を突くようにしなければ上れないことから、急な坂には江戸の人がよくつけた名前である」と、名前の由来についての解説があった。きつい坂の代名詞として、都内には他にいくつもの「胸突坂」があり、前述の「のぞき坂」もそう呼ばれることがある。
傾斜が急で、文京区に位置するこちらの坂は、急な階段とスロープで構成されており、神田上水の守護神である水神社と、松尾芭蕉ゆかりの芭蕉庵に挟まれている。
両隣の敷地内には木々が豊富に生えているため、夏のこの時期、この坂は緑のトンネルに覆われ、非常に風情のある雰囲気になる。どことなくジブリっぽいのだ。
周囲には他にも細川護立が設立した「永青(えいせい)文庫」、椿山荘(ちんざんそう)、男子大学生向けの寮「和敬塾(わけいじゅく)」など、歴史的な建築物が存在している。「のぞき坂」と比べると階段がある分上り下りは楽なので、散策がてら訪れるのもおススメだ。