わがデロリアンは「古着」で動く! 「BTTF」愛あふれるリサイクル会社
スティーヴン・スピルバーグ氏が映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)」(ロバート・ゼメキス監督、1985年)を世に送り出し、同映画に登場するタイムマシン「デロリアン」が世界中に知れ渡ったと言っても、過言ではないだろう。
「デロリアン」に似ているようで少し違う――。ここ日本には、そんなスポーツカー「デロリアン」が存在する。
製作したのは、リサイクル事業を展開する日本環境設計(東京都千代田区)。BTTFの「デロリアン」がごみを燃料にしていた一方、これは古着のリサイクルで得られたバイオエタノールで動くのだという。
映画さながらの「デロリアン」を製作した経緯は、何だったのか。Jタウンネットは、日本環境設計に話を聞いてみた。
映画のワンシーンを実現するため、会社を設立した
日本環境設計の岩元美智彦社長が映画「BTTF」を鑑賞したのが、すべての始まりだった。
「日本環境設計は、代表取締役社長岩元美智彦が映画『BTTF』を鑑賞した際、『使わなくなったものが資源となり、そのエネルギーでデロリアンが動く未来の技術』に感銘を受け、映画と同じ日付である 2015 年 10 月 21 日に、そのシーンをリサイクルによって実現するために設立されました」
同社がプレスリリース(15年8月26日)でこう明かしているように、会社が07年1月に設立された背景には、映画「BTTF」への思い入れがあった。
このリリースでは、映画公開30周年を記念した企画「FUKU-FUKU×BTTF GO!デロリアン走行プロジェクト」(NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパンとの共同)が発表された。消費者から回収した衣服のリサイクルで作った燃料で、世界で初めて(同社調べ)「デロリアン」を走らせる。その日付は、同シリーズの主人公・マーティと科学者のドク、ガールフレンドのジェニファーが2作目の「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」(1989年)でタイムスリップした日「2015年10月21日」だった。
同社は15年8月29日から10月20日まで、日本各地のショッピングモールなど約1450カ所で衣服を回収し、それらの古着をバイオエタノールに加工したうえで、10月21日の走行日を迎えた。場所は、東京・台場のショッピングモール「アクアシティお台場」の屋上駐車場。
Jタウンネット記者が同社に話を聞いてみると、担当者が
「非常に限られたスペースということもあり約2キロ程度の走行でした」
と走行イベントを振り返った。
「デロリアン」はそれ以来、同年10月23日のイベント「新宿芸術天国」(東京都新宿区)を最後に、リサイクル燃料で1度も走行していない。10月24日から翌16年12月4日までは、全国各地のショッピングモールなどの展示イベントに臨んでいた。
だが再び、「デロリアン」がリサイクル燃料で走るかもしれない――。まだ先の話だが、そんな計画が約1年後に実現しようとしている。
2018年、広島の小学校で走る予定
「デロリアン」は17年5月14日、広島県福山市駅家町の市立駅家小学校で児童たちに披露された。
日本環境設計の担当者によると、学生服の販売を手掛ける「オンライン」(広島県福山市)が主導したイベントだった。
「広島県内の学校はESD(持続可能な開発のための教育)に非常に熱心に取り組んでおられるとのことで、弊社の事業との親和性を各学校関係者の皆さまにも感じていただき、今回イベント開催の運びとなりました」(担当者)
イベントでは「デロリアン」が校庭に持ち込まれ、子どもたちや保護者らが持ち寄った古着が回収されたが、その場での走行はなかった。
担当者によると、約1年後にも同小でイベントが開かれる予定だという。その際には、古着のリサイクルでデロリアンを走行させるのか。記者がたずねると、担当者は
「はい、その予定でございます。ただ、具体的な詳細についてはまだ決定しておりません」
と回答していた。なお現時点では、このイベント以外での走行は予定されていないという。