「不法投棄を通報し沖縄旅行に行こう!」大阪の山間部に、そんな看板が設置された理由
実際に不法投棄者を見つけたという通報は......
それにしてもなぜ、抽選で沖縄旅行をプレゼントすることにしたのか。
元会長は、「実際に沖縄旅行を当てた人は1人もいません」と明かす。それもそのはず、実際に不法投棄者を見つけたという通報がこの約10年間、1度もなかったのだ。
元会長は「これは心理作戦です」と言い、
「そらそうですよ。頭に鉢巻きして『こら、何しとるねん』と言いよったところで、『なにわれこんなことしとるねんボケ』と言われて終わりでしょう」
と説明する。
ごみの不法投棄を見つけ通報しても、当人に恨みを買うことは分かり切っている。誰も車のナンバーなど気に留めないかもしれないが、彼らを牽制する材料となるに違いない――。
町内会はそこまで見越した上で、看板の通報先に駐在所の電話番号を掲載し、毎年必ず、会の予算に沖縄旅行の資金を計上していた。元会長はあっけらかんとした口調で、
「初めから(予算を)使うこともないだろうと分かっていた」
と笑っていた。
町内会による不法投棄の取り締まりは、看板だけではなかった。現在も毎年のように、大阪府の予算で府鳳土木事務所に100~200メートルのフェンスを設置する作業を依頼し続けているそうだ。