「アルコール製剤」チューハイ、実際に飲んでみたら「マズっ!」 だけど...
焼酎と間違えて、消毒用アルコール製剤で作ったチューハイをお客に出しちゃった――居酒屋・鳥貴族で起こったこのニュースを聞いて、あなたはこんな疑問が浮かばなかっただろうか。
「なんで気づかなかったの?」
いくらなんでも、消毒用のアルコールなんかで作ったチューハイなんて、マズくて飲めたものじゃないだろう。いや、でも気づかなかったということは、意外と――?
ここは、実験あるのみだ。チューハイ大好きなJタウンネットのT編集長が、問題の「アルコール製剤チューハイ」を再現し、自ら飲んで確かめることにした。
絶対に真似しないでね
まず、状況を整理しておこう。
(1)「誤入」が起こったのは、2016年7月19日から23日までの5日間、151杯
(2)お客からは「少し味がおかしい」という声が数件あったが、クレームなどはなかった
(3)使われていたのは、店員が手の消毒に使っていた、「食品添加物アルコール製剤」
特に重要なのは、(3)。いわゆる「消毒液」や「工業用アルコール」ではなく、その名の通り食品添加物としても使えるアルコールだったということだ。主に、日持ちをさせるために食品に加えたり、あるいは台所などの除菌に用いられているのだという。なので、飲んでも一応「人体に害はない」らしい(なお、工業用アルコールなどは人体に有害なメタノールなどが含まれていることがあるので、間違っても飲んではいけない)。
今回用意したのは、某メーカーのアルコール製剤だ。度数は80%近くで、原料は鳥貴族で使われていたのと同じサトウキビである。当たり前だが「飲まないでください」との注意書きがある。
ふたを開けてみると、強烈なアルコール臭が。まずは、原液で一口なめてみる。
うええ。
わかりきっていたが、完全に刺激物である。アルコール独特の甘みとともに、舌がピリピリする。
こりゃあ、やっぱり気づかないのがおかしい――そう思いつつ、用意したチューハイ(サワー)用の割り材で、「アルコール製剤チューハイ」を作る。
普段飲んでいる焼酎の3倍以上の度数なので加減が難しいが、「ちょっと濃いめ」くらいのレモンチューハイに仕上がった。
酔っぱらってたら気づかないくらいの差
さて、覚悟を決めて、ごくり――。
......。
......ん?
いや、おいしいかおいしくないかで言うと、確かにおいしくない。というかマズい。なんか妙な雑味が、レモン味と干渉している感じがする。
だが、口に入れて明らかにおかしいとわかるほどマズいかというと――。
「ちょっと僕もひと口」
味見したK副編集長、「まあ、おいしくはないですけど......安い店のチューハイだと、これくらいのところありますよね」。
そう、飲んだら即「おえー」となるくらいの味を想像していたのだが、割り材の味が強い分、「普通にマズい」レベル止まりである。素面なら「なんかおかしいな」と気づくかもしれないが、2次会、3次会あたりだと、普通に気づかず飲んじゃいそうだ。
「水割り」にして飲むとさすがにわかる
今度は、「水割り」にして飲んでみることにした。
口に含むと――ああ、これはすぐわかる。間違いなく変な味だ。
こうしたアルコール製剤は、あくまで目的が除菌なので、それに合わせた各種添加物が含まれている。また、飲むために使われるのを避けるため、あえて味を「マズく」しているという側面もあるそうだ(参考記事)。
さすがに水割りで飲むと、そうした添加物の妙な風味が鼻につく。さっきのチューハイで感じた違和感も、これが原因だろう。これを出されたら、いくらなんでもお客も文句を言うはずだ。
もっとも、「ちょっと変わった味の海外のお酒です」と言われたら信じちゃいそうだが......。
ちなみに普通に焼酎飲んだ方が割安です
というわけで、「アルコール製剤チューハイ」は、「マズいにはマズいが、一口飲んですぐわかるほどじゃない」というのが結論だ。これなら、取り違えに気付かなかったとしても、そこまで不思議な話ではない。
ちなみに、こうしたアルコール製剤は値段的にそこまで高いものでもない(1リットル1000円前後)が、J-CASTニュースの記事によると、普通の焼酎(業務用)と比べるとやはり割高なんだとか。
おいしいものでもないし、チューハイを飲むなら普通のお酒で作った方がいい。皆さん、真似をしないでください。