名古屋人はところてんを「箸1本」で食べる?!
[ドデスカ!-名古屋テレビ]2016年5月18日放送の全力リサーチのコーナーでところてんの地域差を調査していました。
1本箸文化 消滅の危機?
これからの季節おいしくいただけて、超低カロリーで女性にも人気のところてん。名古屋では1本箸で食べるって知ってました?
名古屋独特の風習だそうですが、実際この風習はどのくらい残っているのか調査しました。
最初に創業260年を数える栄の「雀おどり總本店」で伺ってみると、「1本箸で食べると聞いたことはありますが、お客様に失礼にならないよう箸は2本でお出ししています」とのこと。
熱田神宮にあるお茶屋さん「清め茶屋」でも、「いきなり箸を1本だけ出してもビックリされてしまうので」と、こちらも箸は2本でした。
昔ながらの風情が残る瑞穂区の雁道商店街で、ところてんの製造販売を行う「後藤商店」では、昔から箸は1本のみとのことで、やっと1本箸に出会うことができました。
どのくらい1本箸で食べられてるの?
そこで大須商店街で、1本箸でところてんを食べる人はどのくらいいるのか聞いてみると、100人中24人という結果でした。
東京の戸越銀座商店街で聞き込みしてみると、1本箸は3人のみ。「箸って2本以外にあります?」と、質問の意図すらわからないという方も。
大阪の天神橋筋商店街では、なんと0人でした。やはり名古屋独特の風習のようです。
この地方の食文化に詳しい名古屋女子大学短期大学部長の遠山佳治教授によれば、「食品の保存技術に乏しい時代、ところてんは非常に腐りやすい食品だった」とのことで、傷んでくるとすぐに切れてしまうため、1本箸ですくうことで傷んでいないか調べるためだったそうです。
それが名古屋人の節約気質にかなっていたために、1本箸で食べることが広まったのではないかと遠山教授は言います。
こんなに違う 東・名・阪で地域差
箸以外にも、実はところてんは味にも違いがありました。
箸1本の「後藤商店」のところてんは、三杯酢。この地方でおなじみのスーパー「ヤマナカ」でも、販売されているのは三杯酢のところてんでした。
箸2本の「雀おどり總本店」のところてんは、赤味噌と三杯酢だそうで、名古屋では三杯酢がスタンダードです。
一方東京では、酢醤油にからしがスタンダード。大阪では黒蜜なんだそうです。特に大阪では皆さんむせてしまい、「後藤商店」のところてんを食べることができませんでした。
味についても遠山教授は、「醤油の生産盛んな東京では酢醤油、大阪では砂糖の普及で甘味文化が発展し、やがて黒蜜へと変化した」とのことで、名古屋は酸味と甘味の両方を取り入れた三杯酢になったとのこと。
1本箸では食べにくいのでは?と思った皆さん、実は意外とそうでもないのです(笑)(ライター:神谷祐美)