横浜・みなとみらいから東京・水道橋まで船で出勤したった!
さまざまな東京情緒が詰まった羽田~水道橋航路
続いて新三崎橋防災船着場まで出航だ。
羽田空港の周りは、2020年ごろの開通を目指して羽田と川崎・殿町を結ぶ橋の建設にむけたボーリング工事が始まるなど、2020年へ向けて変化の途中。
かと思えば、戦後米軍がなぜか接収することができなかった鳥居や、多摩川の終点として流れ着いた人に対する祠などもあり、東京の玄関口の歴史を感じさせる景色もいっぱいだ。
船はここから、海老取川を経て京浜運河を通るのだが、この海老取川の入口の河口干潟が水深が浅く、この航路の難所らしい。それもあって船体は浅く作られているとのことだった。また、川面に刺されている竹竿が、この間を通るべし!というしるしになっているそうであった。
京浜運河に入り、左手に大井競馬場が見えてくるあたりまで来ると、川岸で釣りを楽しむ人や日光浴を楽しむ人などに多く出くわす。どの人も、見慣れない船体を不思議そうに見ているのがおもしろい。
天王洲アイルまで、首都高やモノレールと並走していると、それぞれ橋げたなどがかなりガタがきてそうなものも多く見かけられた。耐震工事など頻繁に行っているのは、必要なことなのだなと、普段とは違う角度から見ることで改めて実感。
住民専用の船着場を持つ高層マンションなどを見ないようにしながら横目に見つつ、進むと、レインボーブリッジが出現。今回の羽田~水道橋間の航路では、全部で48の橋の下をくぐるのだが、その中でも一番の大物であろう。この周辺は、レインボーブリッジ、フジテレビ、浜離宮、東京タワーに築地市場と名所のオンパレードなので撮影に忙しい。
あっという間に船は隅田川へ。年内には開通するのではとの噂の真新しい築地大橋をくぐると、歴史を感じる勝鬨橋、さらに進むと佃大橋、永代橋、両国橋とここからは個性あふれる橋のオンパレードで橋マニアでなくとも楽しい。
船は左折し、神田川へ。神田川に入って1つ目の橋、柳橋もこの航路の難所の1つだ。というのも、柳橋は、桁下高AP+4.76メートルと一番低いのだ。なかなかスレスレに通ると、屋形船が軒を連ねる中を一路水道橋へ向かう。
途中、浅草橋、万世橋を越え、いつも御茶ノ水駅から眺める丸ノ内線を今日は下から眺めてみる。間近で見る聖橋の荘厳なカッコよさにしびれる。緑もあっていい感じだ。
水道橋を越えたところで見慣れない船を発見。なんでもこの辺で出たゴミはここから船でごみ処理場まで運ぶそうだ。一艘の船でごみ処理トラック10台以上もの量を運ぶことができるらしい。日々の生活のなかで意外と身近に舟運は存在しているようだ。
あっという間に(と言っても羽田から1時間50分経過したが)、新三崎橋防災船着場に到着。みなとみらい出発からは約3時間。時刻はもう13時。半休の勢いである。
今回この航路に乗船してみて、舟運社会の実現も非常におもしろいのではないかと感じた。秋葉原、東京スカイツリー、お台場、みなとみらいと人気観光スポットを総ざらいできて観光客向けかと当初は思っていたが、普段目にする東京の街がまったく違った視点から見ることができて東京・横浜在住の人間にこそ乗船してもらいたいと感じた。羽田や川崎の工場夜景ツアーなど企画されると人気が出るように思う。そんなさまざまな可能性を秘めた舟運実験であった。
今回の第3次実験では、このコース以外にも5コース(羽田~秋葉原、日本橋~東京ドーム、秋葉原~東京スカイツリー、水道橋~日本橋、天王洲~五反田)用意され、6月まで実施中だ。今回のみなとみらい~羽田間は2650円~、羽田~水道橋間は3000円~。要予約。秋にも次回実験が予定されているので、忘れずにホームページでチェックを。