新宿ゴールデン街で火災! 鳴り響く非常ベル、そのとき住民は...
「こちらが、火災の現場です!」と走る演技のテレビクルー
ここからは現場に近づけないと判断した記者は、時計回りにゴールデン街の周囲を歩くことにした。
サブウェイ、吉本興業、テルマー湯などのある北側の一角にも、大勢の野次馬や取材陣が詰めかけている。あるワイドショーの記者が、「こちらが、火災の現場です!」と叫びながらカメラを連れて走ってくる、という「定番の」カットを撮影しているかと思えば、近所の居酒屋の店員らしい若い男女が、「予約のお客様どうしよう......」とぼやいているなど、人間模様はさまざまだ。
さらにぐるりと回って、花園神社を通り抜ける形で、ようやくゴールデン街の入り口に入ることができた。ここには野次馬よりも、従業員や近所の住民と思しき人たちが多く集まっている。スウェット姿だったり、サンダル姿だったりと、まさに「着のみ着のまま」という出で立ちである。非常ベルは変わらず鳴り続けているが、延焼の心配もなくなってきたためか、住民たちは落ち着いた様子だ。
「煙がこっちに来なくなったねえ」
「風があっち向きになったんだね」
「いや、火が消えたんだよ」
ちょうどこの会話が行われていたころ、現場では消防隊員の努力もあって、火災は終息に向かっていた。各社の報道によれば5軒前後の建物を焼き、1人が軽傷を負ったという。