品川の名物建築が消える...!「バンダイナムコ未来研究所」間もなく解体、最期の雄姿を見てきた
グッドデザイン賞も受賞した特徴的な建物が、わずか25年で解体されてしまう。東京都品川区の「バンダイナムコ未来研究所」が、まもなく閉鎖されるとわかり、愛着を持つ人々が嘆いている。
最期の雄姿を見るべく、記者は2016年1月下旬、品川シーサイド駅(りんかい線)から、徒歩5分ほどの現場へ向かった。
跡地には「共同住宅」が
この建物はもともと、1992年に松下電器産業(現在のパナソニック)の「情報通信システムセンター」として建設された。特徴的な「台形」が目を引く地上9階、地下1階のビルで、94年にはグッドデザイン賞を受賞している。
松下撤退後の2007年、バンダイナムコホールディングス(バンナムHD)本社が移転し「未来研究所」に。約6年にわたり拠点として活用されたが、ついに16年2月2日の本社移転を機に、解体されることとなった。
解体工事の工期は、16年2月1日から17年10月31日。その年の10月2日からは、新たな「(仮称)品川区東品川四丁目計画」が着工され、20年3月31日に新たな建物が出来上がる予定だ。用途は「共同住宅」で、地上19階、地下1階。たいそう見晴らしのいいマンションが出来るのだろう。
本社移転を前に、併設されたコインパーキングは、すでに1月25日で廃止されていた。なお月極契約者は、31日まで利用できるようだ。LED看板には「満」の文字が、どこかさびしそうに輝いている。
敷地をぐるりと回ると、道路に面してツツジが植えられていた。ツツジの旬は、初夏。それまで育っていてほしい! と、関係者でもないのにエールを送り、その場を後にした。
新社屋はどんなところ?
せっかくだからと、新社屋も訪れた。旧社屋からは、北へ5キロほどの距離。JR田町駅から徒歩5分ほどの、札の辻(ふだのつじ)交差点に面している。新築のビルには「未来研究所」の文字が。移転祝いなのだろうか、大量の花が置かれていた。
15年11月に竣工したばかりの「住友不動産三田ビル」。くしくも、旧未来研究所ビルと同じ設計事務所(日建設計)が手がけている。
実は「未来研究所」は、品川以前にも存在していた。合併前の「ナムコ」が1988年、横浜市に「横浜未来研究所」を設置。のちに品川の未来研究所へと引き継がれた。横浜から品川、そして田町へと、これからも「未来」は語り継がれるのだろう。