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名古屋人はもう「~なも」とは言わない? 代表的名古屋弁「絶滅」の真偽は...

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.10.28 17:00
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「なも」は日本三大美方言の1つだった

ネタ元となった画像は映像の一部分だけを切り取っている。番組が伝えたかったことは別にあるのでは――しかしコーナー全体の映像を確認することはできなかった。

そこでJタウンネットは、1971年に刊行された芥子川律治著「名古屋方言の研究」にあたった。同書は「なも」について次のように解説している。

「『なも』は前掲の『なもし』の『し』を脱落して生まれたものと考える。『なもし』の固さと重さをきらって、もっとやわらかなことばを生み出そうとした市民の言語意識が、この『なも』を生み出したものと思われる。そうしてその成立は、おそらく下町ではなく、上町の町人階層であったであろう」

「な」は感動助詞で「もし」は申しが変形した言葉だ。
余談になるが、電話で通話するときによく使う「もしもし」は、明治時代の電話交換手が「『おいおい』『こらこら』では相手に失礼」と使い始めたとされる。相手に話しかける第一声としてはよくできた表現だ。

「なも」に話を戻す。名古屋市だけにとどまらず、愛知県尾張地方や岐阜県美濃地方で使われていた時期もあった。

「名古屋方言の研究」に掲載されている、「ナモシ系助詞の分布図」
「名古屋方言の研究」に掲載されている、「ナモシ系助詞の分布図」

名古屋上町言葉は、京都の「京言葉」と大阪の「船場言葉」に並ぶ日本三大美方言の1つといわれる。生粋の名古屋人のブログを読むと、「年配の女性が話す上町言葉は、柔らかくて上品な響きだった」と書かれている。

ここからは仮説だが、先のシーンは、東海地方出身の鈴木ちなみさんを通して「こんな雅な表現が名古屋にはあったんだよ」と視聴者に知ってもらうため、収録されたのかもしれない。

番組が放送された2013年当時のツイートを追跡すると、番組の視聴者による共感の声は確かにあった。

「なも」が日常用語として復活する可能性は限りなく低そうだが、この言葉が成立した過程に思いをはせるのも悪くない。

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