名古屋人はもう「~なも」とは言わない? 代表的名古屋弁「絶滅」の真偽は...
「なも」は日本三大美方言の1つだった
ネタ元となった画像は映像の一部分だけを切り取っている。番組が伝えたかったことは別にあるのでは――しかしコーナー全体の映像を確認することはできなかった。
そこでJタウンネットは、1971年に刊行された芥子川律治著「名古屋方言の研究」にあたった。同書は「なも」について次のように解説している。
「『なも』は前掲の『なもし』の『し』を脱落して生まれたものと考える。『なもし』の固さと重さをきらって、もっとやわらかなことばを生み出そうとした市民の言語意識が、この『なも』を生み出したものと思われる。そうしてその成立は、おそらく下町ではなく、上町の町人階層であったであろう」
「な」は感動助詞で「もし」は申しが変形した言葉だ。
余談になるが、電話で通話するときによく使う「もしもし」は、明治時代の電話交換手が「『おいおい』『こらこら』では相手に失礼」と使い始めたとされる。相手に話しかける第一声としてはよくできた表現だ。
「なも」に話を戻す。名古屋市だけにとどまらず、愛知県尾張地方や岐阜県美濃地方で使われていた時期もあった。
名古屋上町言葉は、京都の「京言葉」と大阪の「船場言葉」に並ぶ日本三大美方言の1つといわれる。生粋の名古屋人のブログを読むと、「年配の女性が話す上町言葉は、柔らかくて上品な響きだった」と書かれている。
ここからは仮説だが、先のシーンは、東海地方出身の鈴木ちなみさんを通して「こんな雅な表現が名古屋にはあったんだよ」と視聴者に知ってもらうため、収録されたのかもしれない。
番組が放送された2013年当時のツイートを追跡すると、番組の視聴者による共感の声は確かにあった。
めざましで名古屋弁出てきたけどあんな上品な名古屋弁は都会の裕福な人たちだと家族会議で決定しました。あんな名古屋弁が主流になればよかったのになも
— りあ@ユニ鯖 (@5_moro) 2013, 10月 11
ついに!
"なも"全国区?
なんと「めざましどようび」で "なも" が!
前回のCLASS NAMO.で行った名古屋弁上町ことばですね♪
しかもJOURNALでも取り上げた名古屋城本丸御殿も!... http://t.co/gj9CLhZNXQ
— NAMO. (@nagoya_namo) 2013, 10月 11
「なも」が日常用語として復活する可能性は限りなく低そうだが、この言葉が成立した過程に思いをはせるのも悪くない。