トドやワニ、カエルの肉も! 高田馬場の本格ジビエ居酒屋に行ってみた
東京・高田馬場に、本格的なジビエ料理を手ごろな価格で堪能できる居酒屋があるらしい。しかも、シカやイノシシといったメジャーな獣肉だけでなく、ワニやカエルなど「ゲテモノ」に近いような肉まで味わえるという。
そんな噂を耳にしたJタウンネット編集部。奥深い「奇食」の世界を一目覗いてみようと、高田馬場の裏路地へとおそるおそる足を踏み入れた。
トドの刺身に悶絶
狩猟で得た野生鳥獣の肉を意味するフランス語「ジビエ」。近年日本でもブームが過熱しており、これまで破棄していた害獣の肉を再利用しようとジビエ食を推進している自治体も多い。だが、狩猟肉という性質から安定した量を定期的に入荷することが難しく、都内ではなかなか手軽に味わうことができないのも確かだ。
今回訪れた「獣肉酒場 米とサーカス」では、猟師や生産者と直接契約を結ぶことで、破格ともいえる値段を実現したのだという。
古代ローマの詩人ユウェナリスが、当時の世相を風刺するために使った「パンとサーカス」という言葉をもじった店名に、なんとも怪しい店の雰囲気が相まって、料理を抜きにしても来店者の好奇心をくすぐる。
メニューを眺めると、ウマやシカ、ヤギ、クマ、ウサギといったジビエ料理から、ヤモリやイナゴといった珍味まで、これまで味わったことのない食材の名前がずらっと並んでいる。何が食べやすいのか、皆目見当がつかないので店員さんにオススメを尋ねると、「馬鹿メー盛り」(馬・シカ・ヤギの刺身のセット)と「ヤギの金タマ」、「イナゴの佃煮」を薦められた。
とりあえず一品目ということで、軽くつまめそうな「イナゴの佃煮」(470円)をチョイス。長野ではよく食べられているという郷土料理だが、筆者はこれまで食べたことがない。思いのほか生々しいフォルムにいささか怯みつつも、いざ実食。
食べてみると、単純に美味しい。川エビの唐揚げのようなサクサクとした食感に、濃厚な甘辛タレが絡まって、酒のアテにぴったり。辛口の日本酒と一緒に頂きたいようなお味である。これに気をよくした筆者は、続けて肉料理もオーダー。「カエルの皮炙り」(480円)、「ワニの天ぷら」(870円)、「トドの刺身」(820円)の3品である。
本格「ゲテモノ」料理を堪能?
まずは、「カエルの皮炙り」から。名前の通り、剥いだカエルの皮を炙ったもの。器の端にマヨネーズが添えられたその見た目は、巨大なエイヒレに近いような気もする。味はほぼ無味に近く、ほのかな香ばしさと独特の生臭さが舌に残るといったところ。バリッ(パリッではない)とした食感も個性的で、とかく人を選ぶ一品だった。
続いて、「ワニの天ぷら」がテーブルに。レモンを絞って、チリソースに漬して食べるのがオススメらしい。白身魚と鳥のササミのちょうど中間といった具合の上品な味わいで、油が少なく淡泊ではあるが肉の味は濃厚。一言でいえば、絶品である。当たり前ではあるが、見た目のワニ感はゼロだ。
最後に登場したのが、「トドの刺身」。見た目は馬刺しにそっくりで、皿には生姜とニンニクも添えられている。いきなり薬味をつけてしまうと、肉本来の味や香りが分からない可能性があるため、まずは素のまま食べてみることに。
トドの生肉を口に入れた第一感は、「おいしいが、とにかく獣臭い――」。味や食感は、油が少ない馬刺しのような味わいで美味なのだが、いかんせん「獣臭」が半端ではない。肉を飲み込んだ後も、「もわ~ん」とした独特な臭いが口の中に残り、なんだか気持ちが悪い。薬味をたっぷりとつけて食べれば獣臭もほとんど気にならず、むしろさっぱりとして食べやすい印象を受けた。
米とサーカスでは、上のような「奇食」のほかにも、「珍酒」とも呼ぶべき変わり種のお酒を揃えているのもウリの1つ。ハブ酒に代表されるような、生き物を漬け込んだ酒のラインナップを特別に見せて頂いた。
筆者はサソリをウォッカに漬けた「サソリ酒」を注文したが、味自体は甘めで飲みやすい印象だった。店員に初心者でも飲みやすい種類を聞いてみると、「タツノオトシゴ酒は臭いが強く、あまり初心者にはオススメできませんが、それ以外ならどれでも大丈夫です」と笑いながら答えてくれた。
今回紹介したメニュー以外にも、「ヤモリの姿揚げ」や「鮒寿司」など強烈なラインナップを揃える同店。当の店員ですら、「運んでいて『うわあ...』と思ってしまう料理もあります」という。もちろん、そのあとには「見た目はともかく、食べると美味しいものばかりなので、安心してくださいね」と続けてくれた。