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カステラの真のルーツ!? 400年の歴史を誇る平戸銘菓「カスドース」とは

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.10.04 11:00
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カステラの完成形とは?画像はイメージです(Norio.NAKAYAMAさん撮影、flickrより)
銀座文明堂 特撰五三カステラ

長崎を代表する銘菓「カステラ」。ふんわりとした食感と、卵本来の味を感じさせるシンプルな甘さが特徴で、子どもから大人まで幅広い層に愛されるスイーツだ。

だが、そんなカステラを「出来損ない」だと主張する人たちがいる。同じ長崎県のなかでも、最北西に位置する平戸島の住民たちだ。

2ちゃんねるに立った「長崎人『カステラはポルトガルから教えてもらった』ポルトガル『そんな菓子知らんけど...』」というスレッドでは、平戸市民とみられるユーザーが以下のような説を提唱している。

「カステラは平戸の銘菓『カスドース』の出来損ないにほかならない。カスドースを作ろうとした長崎人が、どうしても真似できなくて、作りかけをやけくそで売りだしたのがカステラ」

はたして、この主張は正しいのだろうか。そして、カステラの「完成形」といわれる、平戸のご当地銘菓「カスドース」の正体とは――。

「幻のお菓子」「門外不出」...カスドースには様々な逸話が

そもそも、カスドースとは一体どんな菓子なのだろうか。簡単に説明すれば、「カステラをフレンチトーストにしたもの」が近い。焼きあげたカステラの耳(茶色い部分)を切り落とし、溶いた卵にひたす。それを、熱した糖蜜で揚げるように茹で、表面にグラニュー糖をまぶしたものだ。

カスドース(Opqrさん撮影、wikimedia commonsより)
カスドース(Opqrさん撮影、wikimedia commonsより)

ここまで聞くと、確かに「カステラの完成品」だという意見も頷ける。2つの菓子の歴史を見比べてみても、

カスドース:安土桃山時代にポルトガルから伝わった菓子
カステラ:ポルトガルから伝わった南蛮菓子を元に、日本で独自に発展した和菓子

と、平戸側の主張をさらに裏付けているように思われる。やはり、「カステラはカスドースの作りかけ」という説は正しいのだろうか。Jタウンネット編集部は平戸と長崎、両市役所に詳しい話を聞いてみた。

平戸市観光課の担当者は、

「とくに、カステラがカスドースの『作りかけ』だという意識はありません。同じ材料を使っているだけで、全くの別物と認識しています。けれども、カステラと言えば長崎市のものとなっているので、平戸としては『カスドース』をプッシュしたい気持ちはありますね」

と、思いのほか冷めた反応だ。一方、長崎市商業振興課の担当者も、

「カステラが『作りかけ』かどうかについては、正直なんとも答えようがありません(笑)」

という。しかし、続けて「カステラとカスドースのどちらも、長崎よりも先に平戸で広まっていたものというのは間違いありません」と教えてくれた。平戸でポルトガルとの交易が始まったのは1543年、一方の長崎では1571年に長崎港が開港して以降となる。

どうやら、今回取り上げた平戸側の主張は、あくまで「そのように推測することもできる」といったものらしい。だが、当時貴重だった鶏卵と砂糖をふんだんに使用し、黄金色に輝く見た目が美しいカスドースは、庶民にとって「幻のお菓子」とされていたようだ。平戸周辺を治めていた松浦家も、「門外不出」の菓子として扱っていたという。

そういった情報を踏まえると、「出来損ない」というのはさすがに言いすぎだろうが、「幻のお菓子」カスドースを再現しようと、長崎の人々が知恵を絞る中で生まれたのがカステラ――というのも、あながちあり得ない話でもないのかもしれない。

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