このバス...入口は前?後ろ? 運賃は先払い?後払い? エリア別「バスの乗り方」ガイド
ワンマンバスの歴史を作った大阪・東京・神奈川
最後に、こうしたバスの乗り方の差異が生まれた背景を紹介しておきたい。
日本の路線バスのほとんどはワンマン化されている。業界をリードしたのは大阪市営と東京都営、そしてかなちゅうバスだ。
社団法人日本バス協会の「バス事業百年史」によると、ワンマンバスを最初に始めたのは大阪市営で、1951年6月、阿倍野-今里間などで35台の運行でスタートした。乗客は前扉からの乗車時に運転士脇の料金箱に運賃を投入、後部扉から降車する方法が採られた。10月には京都市交通局と名古屋交通局、1952年5月に横浜交通局にも波及するが、運賃収受が簡単な均一区間に限られた。
全国に本格的に普及したのは1960年代。大阪市営は後扉から乗車し、運賃は降車時に支払う「運賃後払い」に移行している。
1962年10月、かなちゅうは距離別(他区間)運賃でのワンマン運行を開始した。乗客の乗車停留所を示す整理券を発行し、降車の運賃支払い時に、その整理券と運賃を合わせて収受するという方式が採られた。これによってワンマンバスは全国に急速に普及する。
東京都がワンマンバスの運行を始めたのは1965年。日本バス協会や車体工業会と連携しながら車両を開発したが、このとき試作されたのが「前乗り・後降り」のワンマンバス兼用車で、現在もこの方式が受け継がれている。