「大きな岩が出てきた。きっと神様の磐座だ。駅前に祀ろう」→昔話かと思いきや、 たった5年前の実話
尖石遺跡にもある、大石
そこで、茅野市の歴史的・文化的背景について、補足しておこう。
茅野市にある尖石縄文考古館には、「縄文のビーナス」と呼ばれる土偶(国宝)が展示されている。これは市内の棚畑遺跡から出土したもの。今から4000年から5000年前の縄文中期、八ヶ岳山麓一帯に広がっていた縄文文化の特徴を示していると言われている。
同館には、八ヶ岳山麓各地の縄文遺跡で発掘された、数多くの土器や石器など約2000点の遺物が展示されている。つまりこの一帯は、縄文中期、比較的大きな文化圏を形成していたと推測されるのだ。
同館近くにある尖石遺跡には、その名の由来となった尖石がある。石質は八ヶ岳噴出の安山岩で、茅野駅前で発掘されたものと同じ。古くから信仰の対象として祀られていたという。つまり大石を神の磐座と信じ、祀るのは、唐突でも何でもなく、この地の人々の5000年前からの伝統なのだ。
