「大きな岩が出てきた。きっと神様の磐座だ。駅前に祀ろう」→昔話かと思いきや、 たった5年前の実話
2015年9月5日、次のような写真付きのツイートが投稿され、話題となっている。
茅野駅の前にある大変おもしろい大岩。横に「いわれ」を書いた看板があるんだけど、内容が「工事で丸い巨岩が出たから何かあると思って慎重に掘り出したけど、別に何でも無かったものの、こんな事が起こるのは奇跡的だと思い祀った」っていう。 pic.twitter.com/9cu48qgNQj
— 農民丁 (@noumin_T) 2015, 9月 5
場所は長野県の茅野市。茅野駅の西口で発見された大岩について紹介したツイートのようだ。いったいどんないわれがあるというのだろう。
丸い巨石の出現が......
冒頭のツイートには、2枚の写真が添えられているが、2枚目の写真には説明文が入っている。説明文にはこう書かれている。
<引用>この石のいわれ
平成22年2月、茅野駅西口(駅前)土地区画整理事業工事中、弥生通りの地下3メートルの地点から思いもよらぬ巨大な球状岩石が出土した。工事の障害物として破壊、除去しようとしたが、丸い巨石であることに気づき、慎重に掘り出した。
古来、私たちの祖先は磐座(いわくら)信仰をし、地上に鎮座する大石に神の降臨を意識してきた。悠久の時を経た巨大岩石が突然地上に出現したことは、単なる偶然とは思えない。
我々を守る神の磐座であると信じ、シンボルとして、駅前縄文公園隣接に永久保存することとした。
この大石が発見され、掘り出された経緯が記述されている。それが永久保存されることになった動機についても述べられているが、ただ少し分かりづらかったようだ。
下のような賛否両論のさまざまな感想が寄せられている。
無いのかよwww
— ぱなすまきあ (@panasmakhia) 2015, 9月 6
適当すぎかよwww岩wwww
— ちょめすけ@DD (@owat_y) 2015, 9月 6
@noumin_T 川で磨かれた真球みたいな奴も出土したさい祀られてた所あった気がする。こういう岩には男のロマンがあるかもしれない。
— クマシロ (@kumasiro) 2015, 9月 5
@kumasiro 球状の石を祀る文化は結構ありますね。というか、でかい岩ってだけでしめ縄かけちゃうケースもw
— 農民丁 (@noumin_T) 2015, 9月 5
@noumin_T 「なんか有り難そう」てノリと「割ったら祟られるかも」といった畏怖の念が混在している感じですな。
— バロン・ジョニー・アントシアネット (@Johnny_Anthocya) 2015, 9月 6
引用した文中の「我々を守る神の磐座であると信じ、シンボルとして......」という部分が、少し唐突に感じた人もいたようだ。
尖石遺跡にもある、大石
そこで、茅野市の歴史的・文化的背景について、補足しておこう。
茅野市にある尖石縄文考古館には、「縄文のビーナス」と呼ばれる土偶(国宝)が展示されている。これは市内の棚畑遺跡から出土したもの。今から4000年から5000年前の縄文中期、八ヶ岳山麓一帯に広がっていた縄文文化の特徴を示していると言われている。
同館には、八ヶ岳山麓各地の縄文遺跡で発掘された、数多くの土器や石器など約2000点の遺物が展示されている。つまりこの一帯は、縄文中期、比較的大きな文化圏を形成していたと推測されるのだ。
同館近くにある尖石遺跡には、その名の由来となった尖石がある。石質は八ヶ岳噴出の安山岩で、茅野駅前で発掘されたものと同じ。古くから信仰の対象として祀られていたという。つまり大石を神の磐座と信じ、祀るのは、唐突でも何でもなく、この地の人々の5000年前からの伝統なのだ。