宮崎県民なら誰でも知ってる? 謎のファッション「タオラー」の謎に迫る
「タオラー」をご存じだろうか。
1999年ごろ、宮崎の女子高生の間で「タオルを首に巻いたファッション」が爆発的に流行していた。そんな彼女たちのことを、当時全盛期だった「アムラー」に掛けてタオラーと呼んだのである。
地元・宮崎のローカル番組をはじめ、全国放送の「めざましテレビ」(フジテレビ系列)など多くのメディアに取り上げられたこの「タオラー現象」。今回のJタウンネットでは、そんな宮崎発祥の一風変わったファッションについて、詳しく取り上げてみたい。
ブランド物よりも、「粗品のタオル」がお洒落だった?
タオラーと呼ばれた宮崎の女子高生にとっては、ミニスカートとルーズソックスに「タオル」を合わせるのがトレンドだった。そのポイントは、まるでスカーフやマフラーのように、出来るだけお洒落に見えるようにすること。もちろん、巻き方だけでなくタオル選びも重要になってくる。
実は、当時のタオラーたちにとって一番お洒落だったのは、「粗品のタオル」だという。新聞販売店やガス販売店などが配布しているような、あのチープな白タオルである。凝ったデザインのブランド物や、キャラクターが描かれたタオルは、逆に「ダサい」とされていたらしい。
「タオラー」流行の背景を探る
ファッション面のみならず、すぐに汗を拭えたり、首筋の日焼けを防いでくれるなど、何かと実用的な面が強いタオラーのスタイル。その流行の裏には、どうやら宮崎の「厳しい夏の気候」も関係しているとみられる。
「南国」とも呼ばれる宮崎県は、夏の日差しが非常に強いことで有名だ。一部の観光案内サイトでは、夏場でも長袖の着用を推奨しているほど。気象庁の快晴日数・日照時間のデータ(2010年度)を見ても、宮崎県は快晴日数で全国2位の年間49日、日照時間は全国3位の年間2116.1時間。この両方がトップ3にランクインしているのは、全国で宮崎県だけだ。
このような気候のなかで、機能性を重視して始まった格好が、「タオラー」と呼ばれる段には1つのファッションとして定着していったようだ。その後、発祥の地・宮崎を中心に、熊本や大分といった隣県の女子高生の間で流行した。そのほかにも、なぜか大阪でも流行したという。
ブームが去った後、タオラーは絶滅してしまった。ファッションとしてタオルを首に巻く女子高生は、宮崎でもほぼ見られないという。もちろん、その機能性から今でも年配の女性には人気が高いが......。