我孫子市、ドローンを駆使したCMで魅力をアピール...メイキングも

利根川と手賀沼に挟まれた千葉県我孫子市は、東京都心から約35キロ離れた典型的な郊外の都市だ。
柏市との境にある手賀沼は1960年代、「ここにディズニーランドを建設しよう！」という計画が持ち上がったほど（参照：幻の「手賀沼ディズニーランド」、知ってますか？）。田舎と都会の両方を兼ね備えている。

平成の大合併のときは柏や流山との合併案も浮かび上がったが、紆余曲折の末、わが道を行くことになった。
首都圏のベッドタウンとして人口を伸ばしてきた我孫子。しかし東日本大震災発生後は減少に転じている。
観光客と移住者を誘致したい市は2015年7月6日、YouTubeと東京メトロ車内の液晶ディスプレイでPR動画を公開した。

あびこの魅力ＣＭ２０１５（30秒版）（YouTubeより）

ドローンでこんな映像撮れちゃうの！？

東京メトロで見られる映像は短い15秒バージョン。しかも7月12日で放映が終わってしまう。30秒バージョンを見るならYouTube だ。

手賀沼上空から見た町の様子から映像はスタートする。サイクリングロードを自転車乗りが疾走し、湖上ではヨットやカヌーを楽しむ人の姿が見られる。湖畔をジョギングする男女が登場し、再び空中シーンに戻ってラストとなる。
見どころは何といってもドローンを使った空からの映像だ。有人ヘリコプターを使わずにこんなシーンが撮れちゃう時代......。その出来栄えに「いいね！」とつぶやきたくなる。
BGMはヴァイオリニスト竜馬さんの「青へ向かう道」。我孫子の自然をいい感じに盛り立てている。

本編だけでなくメイキングもYouTubeで公開されている。動画コンテンツの作成に興味がある入門者にとって、ヒントとなるカットが散りばめられている。

市民参加 あびこの魅力ＣＭ完成！7.6公開（制作風景）（YouTubeより）

動画撮影の練習やドローン操作の講習会の場として、手賀沼周辺を利用できたら面白そうだ。

ところで我孫子は、大正から昭和にかけて著名文化人が移り住んだことでも知られる。作家の志賀直哉と武者小路実篤、西洋史学者の村川堅固、民藝運動を起こした柳宗悦、講道館柔道の創始者・嘉納治五郎――。

大物にインスピレーションを与えた（かもしれない）手賀沼は、日本で2番目に汚い沼という不名誉な記録をもっている。徐々に水質浄化が進んでいるが、まだその取り組みは続いている。

水質がかつての状態に近づき、景勝地としての魅力を取り戻すことができれば、創作活動の拠点として蘇る可能性はきっとある。
一緒に町の将来を担ってくれる人は手を挙げてほしい――そんなメッセージが今回の動画に込められているのではないか。