池袋が、緑とカフェの都市に変貌を始めた
49階建てのビルに区役所が入る
翌7日、池袋に新しいランドマークが誕生した。サンシャイン60から南に約400メートル離れた場所に、地上49階建て・高さ189メートルの「としまエコミューゼタウン」がオープンしたのだ。
1階の一部と3~9階に区役所が入り、上の階は432戸の分譲マンションとなっている。耐震性を備え、100年以上の長寿命建築として設計された。総事業費約430億円のうち、区の負担は約120億円。
財政状況の厳しい豊島区がどうやって費用を捻出したのか。旧庁舎と隣の豊島公会堂に定期借地権を設定し、民間に貸し出すことによってまかなった。財政支出はほぼゼロで済む計算だ。
オープン初日、Jタウンネット編集部は新庁舎を見学した。
新施設を見学に来た人と、連休明けのあわただしさが入り混じる。新施設の配置に若干戸惑う職員も見かけた。それでもスペースの広さがゆとりをもたらしている。
圧巻はなんといっても中央のアトリウム。1階から9階までの吹き抜け空間。スマホのカメラ機能で撮影を試みたが全部収まり切らない。
エレベーターホールには専用エレベーターが7基稼働し、4階まではエスカレーターも利用できる。積み残しが生じる場面は見かけなかった。
ビルのコンセプトは「高い樹木」。木の葉が庁舎を覆う。
「豊島の森」と名付けられた10階の庭園は、約1000平方メートルの広さだ。常緑樹・落葉樹・紅葉類がそれぞれ植えられ、森や小川が再現されている。
眺めは申し分なく、デートスポットとしても使えそうだ。
植物は8・6・4階にも植えられていて、「グリーンテラス」として外階段でつながっている。つまり10階から4階までビル内に入ることなく周回できるというわけだ。階段を下りるときは少々スリルがあるが。
下りる途中でガラス越しに議場も見えた。
豊島区は日本一人口密度の高い市区町村で毎年2万人程度が転入出する。地域に対する関心が薄い人も中にはいるだろう。区政を身近に感じてもらうため、こうした工夫を凝らしたことに目を見張る。
4階まで下りてビル内に戻る。ここは福祉総合フロアとなっていて、子育てや高齢者・障碍者福祉、生活支援、区民相談などに応じる。
「子育てインフォメーション」は、東池袋に本社を置く無印良品が内装を手がけた。専門のスタッフが妊娠・出産から子育てまでの相談に対応する。
3階から9階までの庁舎内通路は展示空間「回廊ミュージアム」となっていて、区の文化や歴史遺産、美術工芸品、子供たちの作品などを紹介している。
1・2階には商業スペースも設けられ、ファミリーマートやココカラファイン、E-PRONTOが入る。