広島県民、気が早すぎ! 「カープ優勝本」開幕前なのにもう発売
「勝負は下駄を履くまで分からない」はスポーツの世界で常々使われる言葉だが、日本のプロ野球で、優勝は確実と言われていたのにまさかの大逆転が起きた例はいくつもある。
例えば、2008年9月に発売されたムック「Vやねん!タイガース」は、日刊スポーツが阪神タイガースのセ・リーグ優勝を見込んで制作・販売したのだが、最大13ゲーム差を付けられていた巨人が猛烈な追い込みで大逆転Vを果たした。
同年に日本一に輝いたのは埼玉西武だが、2010年にパ・リーグで優勝秒読みといわれていた。ところがソフトバンクとの最後の直接対決で3タテされ、2厘差で優勝を逃した。
このとき西武グループは、『パ・リーグ優勝記念企画』を方々に告知し、ベースボール・マガジン社から優勝記念本が発売されることも決まっていた。
ファンは即買いするも、「Vやねん!」を思い起こす人も...
公式戦も終盤で、どう考えても優勝は決まりという段階ですら番狂わせが起きるのに、なんと開幕前から優勝を確信したかのようなムックが、3月23日に大阪サンケイスポーツから発売された。
本のタイトルは「おかえり!黒田 カープ優勝するんじゃけぇ (サンケイスポーツ特別版)」だが、小さく書かれた「するんじゃけぇ」が見えにくく、「おかえり!黒田 カープ優勝」しか目に入ってこない。
本を開く。2ページ目の広告を挟んで3ページ目に書いてあるのは次の1行だ。
「Vへの鼓動が聞こえる」
ニューヨークヤンキースから8年ぶりにカープに復帰した黒田博樹投手のプロフィール&データと、カープOBで野球解説者・小早川毅彦さん×黒田投手のスペシャルインタビューは、最近ファンになった人にとっては必見だ。
若手中継ぎ陣のホープである中崎翔太投手と一岡竜司投手との対談では、中崎投手がチームメートからゆるキャラ的存在になっている話などが飛び出す。カープ好きなら何度読み返しても飽きない。
ツイッターには即買いした人の投稿が相次いでいる。
20年間で一番急いだ日だが、お金を崩したくてキヨスクに行ったら「おかえり!黒田 カープ優勝するんじゃけぇ」っていう本が売ってて即買い。
早く読みたい。
— R!HO#7#67 (@riho_carp_7) 2015, 3月 24
おかえり黒田 カープ優勝するんじゃけぇを買ってきました。これから、夜勤に備えて寝てから読もうっと! pic.twitter.com/IzHWByntrL
— カープと柴犬さくら (@033102151209) 2015, 3月 24
鯉女じゃないがちょっとほしいww 広島カープ特別版「おかえり!黒田 カープ優勝するんじゃけぇ」発売 http://t.co/3H2qVQSyr4
— 長澤 鼎 (@Kaname_Nagasawa) 2015, 3月 17
一方で「Vやねん!」の再来を恐れる人もいる。というか不安がる人の方が明らかに多い。
コンビニ行ったら「カープ優勝するんじゃけぇ」があった
なぜ同じ過ちを繰り返すのか( pic.twitter.com/is7fr0E6qb
— 星多摩猫@開幕2戦目プリド (@sisitoh_del20) 2015, 3月 24
広島カープ特別版「おかえり!黒田 カープ優勝するんじゃけぇ」発売 : 日刊やきう速報 http://t.co/jBsMK73gvc
あれ?これVやねんじゃね?
歴史は繰り返すの典型的な例になりそう(笑)
— ryo (@ryo__291) 2015, 3月 16
オープン戦鑑みるにBもあろうにシーズン前からVやねんの呪いもかけていくのか...本から出火して出版社ごと焼失すればいいのに 広島カープ特別版「おかえり!黒田 カープ優勝するんじゃけぇ」発売 : 日刊やきう速報 http://t.co/osiMPsR6gi
— 響でKYO@山川海地official (@KYO_72) 2015, 3月 16
サンスポから雑誌で特別版「おかえり黒田!カープ優勝するんじゃけぇ」とかいうのが出てるのか...。若干不穏なものを感じるタイトル...:)
— すりらばいがっじ~ら (@thrillabygodzi) 2015, 3月 25
ファンの胸中には期待と不安が入り混じっているが、オープン戦で黒田投手は40歳という年齢を感じさせない、熟練の投球を見せつけている。
2013・2014年と2年連続の3位。今年はさらに上位を――と、地元の期待は最高潮に達している。優勝候補に挙げる野球評論家も多い。
この勢いにあやかりた...いや一緒に応援したい出版社の気持ちは理解できなくもない。
オープン戦最下位という現実が...
ただ気がかりな材料もある。チーム自体はオープン戦最下位だったことだ。打率と防御率も12球団ワースト。投手陣は中継ぎ以降にやや不安があるし、打撃陣では4番候補だったエルドレッド内野手は右ひざの故障で手術を受けたばかり。復帰は6月頃と見られる。
巨人もオープン戦不調だが本来の実力はやはり侮れないし、阪神は投打ともに強力。そしてBクラスの常連だった横浜DeNAとヤクルトの戦力アップが今年は目覚ましい。中日はベテランを脅かす若手が台頭すれば......。
3月25日、カープの開幕1軍メンバーが発表された。セットアッパーとして活躍するも肩痛で2度離脱した一岡選手が入った一方で、赤松真人外野手と堂林翔太内野手は2軍スタートとなった。かつての主砲・栗原健太選手はケガからまだ復帰できていない。
すべてのピースが揃い、万全のチーム状態になる日が待ち遠しい。そうすればVやねん!の懸念も払しょくされるのではないか。
ちなみに、カープ本を出しているのは大阪サンケイスポーツだけではない。ベースボール・マガジン社は25日に「広島東洋カープまるわかり大百科CARP ENCYCLOPEDIA」、そして旅行本を出しているJTBパブリッシングは24日に「るるぶ広島カープ」を発売している。要するにみんなカープが好きなのだろう。