同僚が結婚のサポーター! 山形が始める「県庁花咲か応援隊」の正体に迫る
お見合いは親族が勧めるのが一般的だが、かつては近所の女性や上司が話を持ち込むことも少なくなかった。セクシャルハラスメントという概念が確立した今、職場で「そろそろ結婚しないの?」という言葉を口に出すのはもはやタブーに等しい。
社内恋愛→結婚が絶えることは決してない。しかし一般職の女性社員を「男性社員のお嫁さん候補として入社」という風潮は消えつつある。要するに「社員の個人的なことに口出ししない」という考えが主流となっているのだ。
気がついたら婚期を逃していた筆者のような独身男性にとって応援隊の発足はうらやましい限りだが、「ほっといてほしい」という人ももちろんいて、対応に悩むところだ。
山形県子育て推進部子育て支援課の担当者によると、2015年1月8日に開催された第1回ミーティングでは、サポーターから次のような意見が相次いだ。
「独身者の把握、サポート希望の有無のリサーチは配慮が難しい。婚活していることを知られたくない人、結婚しなくてもいいと考えている人もいる。「結婚しない」という選択肢も尊重しなくてはならないと思うが、どこまで立ち入って良いものか悩む。聞きにくい」
「イベントは独身者に限定せず、独身・既婚・若者・年配等が幅広くしたほうが参加しやすいのでは?婚活が前面に出ない方が参加しやすい」
「独身者が結婚に至らない理由は人それぞれ。結婚に至らない原因を調査して、結婚に繋げるための課題を分析し、サポーターで共有するようにしてはどうか?」
「あくまでも希望者が対象です」
"婚活・子育て応援オフィス"の創出・拡大を唱える山形県だが、サポート対象はあくまで希望者に限定するという。
「結婚については個人の考えや自由な選択を尊重しなければならないと考えておりますので、サポートが必要かを確認の上で、希望する独身職員のみを対象としております」(県担当者)
独身職員もホッと胸をなでおろしていることだろう。「『婚活』といわれると(結果が求められるようで)気負ってしまう」という声が上がる一方で、「出会いの機会が多くなるのはいいと思う」と歓迎する声はもちろんある。
ところで、県は2014年1月、1対1の出逢い支援サービス「出逢いやまがた」をスタートさせた。2015年1月11日現在、登録者数800名、月約30件のお見合いを実現している。
今回の応援隊は、既存のサービスとサポーター個人の試みをミックスした形になるようだ。
「出会いイベントの企画や実施については、今後、各部局のサポーターの皆さんに実施していただく予定ですが、事務局である子育て推進部としては、取組みの参考になるような企画を早期に実施したいと考えております」
「参加の後押しとしては、『出逢いやまがた』の紹介をはじめ、サポートセンターがHP上で提供している出会いイベント情報等を希望する独身職員へ情報提供していきます。また、サポーターからもイベント参加など声をかけて、出会いの機会への参加を後押しします」(いずれも県担当者)
地域差が激しい山形。結婚観もギャップが?
山形は置賜・村山・最上・庄内の4つに分かれていて、それぞれ異なる文化を築いてきた。恋愛や結婚・出産に対する意識についても地域差がありそう。
県担当者も「4地域、それぞれの地域性や県民の気質の違いなどがあると思いますので、今後、展開を進めるにあたって検討していきたいと考えます」と話す。
2013年に県民に対して実施したアンケートによると、未婚者の8割が「いずれ結婚するつもり」と回答する一方で、独身にとどまっている理由について5割以上が「適当な相手にめぐり会わないから」と答えている。
「まずは県職員が率先して取り組むことで企業等へ波及させ、結婚を応援する気運づくりすすめることで、結婚したい人、一人ひとりが希望を叶えられるよう取組んでいきたいと考えております」(県担当者)
応援隊のような取り組みを実行できるのも、地縁を重んじる風土が比較的残っている土地柄だからこそできるのかもしれない。
県庁花咲か応援隊は晩婚化・未婚化に直面する日本のモデルケースになり得るか。Jタウンネットとしても引き続き注視したい。