お雑煮の汁=「おしるこ」な県もある! おすましだけじゃない地域差事情【年始特集「お雑煮」(3)】
ユーザーからの投票を元にお送りする、Jタウン研究所の「お雑煮」特集。前の2回では「もち」に焦点を当て、その東西差を探ってきた。
最終回となる今回は、お雑煮の「汁」の種類について取り上げる。アンケートを取ったところ、東西の落差が大きかったもちとは、また違った結果が......。
(前回の記事)
お雑煮のもちを「焼く」県、「煮る」県...その境界線が明らかに!?【年始特集「お雑煮」(2)】
Jタウン研究所では、お雑煮の汁について、都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数624票、2014年12月4日~12月19日)
おすましは443票、71%、味噌仕立ては135票、21.6%、小豆汁が9票、1.4%、その他が37票、5.9%だった。結果が、この図表だ。各県ごとの最多得票を色分けしてみた。同数の場合は白地のままにしてある。
近畿圏と四国や、福井県の味噌仕立て派を、おすまし派が取り囲んでいる様子がお分かりいただけると思う。
味噌仕立ては押され気味
投票数が多かった主な都市の内訳を見てみよう。
東京都は投票総数が219票で、そのうちおすましは72.1%、味噌仕立ては18.7%だった。おすまし派が多数を占めた。小豆汁が1.8%、その他が7.3%もある。さすがに全国各地からの流入者が多いことが分かる。
次に、愛知県を見てみよう。投票総数は28票で、おすまし派は96.4%、味噌派はわずか3.6%であった。つまり愛知では東京以上に、おすまし派が圧倒的に多いようだ。
そして、大阪府の投票総数は41票、おすましは41.5%、味噌は53.7%だった。味噌派が過半数を占めた。
もう一つ、京都府も見てみよう。京都府の投票総数は24票、おすましは37.5%、味噌は62.5%だった。京都はやはり味噌が圧倒していた。白味噌仕立ての京風雑煮は健在のようだ。
すまし汁派が大勢を占める
色分けされた地図で、味噌仕立て派の県をもう一度見てみよう。大阪、京都の他は、和歌山と福井。あとは四国の徳島、香川、高知の各県だ。日本列島の真ん中辺りにかたまっているという構図が明らかである。
今回の調査に当たり参照した伝承料理研究家・奥村彪生さんの著書『聞き書 ふるさとの家庭料理5巻もち・雑煮』(農文協刊)にも、次のように書かれている。
みそ仕立ては少数派。近畿(白の甘みそ派)と越前(赤みそ派)、四国香川、徳島などである。全国的にはすまし汁派が勢力を占めている。
近年の人口移動や都市部への流入という変化をかなり受けながらも、おすまし派多数の状況は強まりこそすれ、弱まる気配はないようだ。
なお小豆汁は、山陰地方独特のもので、島根県東部から鳥取県にかけて分布している。本調査でも鳥取県は小豆汁が多数派だった。
その他の地域の場合は、山陰地方の人たちの移動による影響と考えられる。
ところで気になるのは、結構多かった「その他」の回答。東北などでは、「納豆」を使うところがあるという話も聞くが......具体的にご存じの方がおられたら、編集部までご教示いただけると幸いだ。
以上、「お雑煮」にまつわる地域差を、3回に分けて紹介した。お雑煮をめぐってはこのほか、具などについてもかなりの違いが存在する。休み明けの話題の種にしていただければ幸いだ。