つぶあん派VSこしあん派!味覚の境界は「名古屋」にあった
[ドデスカ!-名古屋テレビ]2014年11月5日放送の全力リサーチのコーナーで、つぶあんとこしあんの人気について調査していました。
100人調査 つぶあんVSこしあん 多数派はどっち?
あんこ大好き名古屋人。つぶあんとこしあんはどっちが人気なのか、名古屋の街で調査しました。
くちどけ重視のこしあん派に、食感重視のつぶあん派。どちらも一歩も譲らず最終的には、つぶあん57人対こしあん47人(あんこは食べない2人)で、つぶあんが多数派という結果となりました。
寒くなったら食べたくなる「あんまん」ですが、コンビニの「あんまん」はつぶあん?こしあん?大手コンビニエンスストア4社で調査すると、なんとセブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスともにつぶあんでした。
しかしセブンイレブン、ローソンでは、愛知県より東の地域でこしあんのあんまんを販売、ファミリーマートでは東で両方販売、サークルKサンクスでは関東で両方販売しているとのこと。
井村屋で聞く つぶあんorこしあん 東西分裂の実情
やってきたのは三重県津市に本社のある「井村屋」あずきバーを代表とする小豆関連商品を、約300種類展開しています。
開発部菓子食品チームの中西達さんにお話しを伺うと、井村屋の商品の割合はつぶあん75%、こしあん25%とのことで、井村屋でもつぶあんが優勢の様子。
今年は肉まんあんまんの販売50周年とのことですが、販売当初はつぶあんまんのみだったそうです。
関東地方ではこしあんが一般的でつぶあんで勝負したのですが、こしあんを好む人が多いとのことで、今から24~5年前にこしあんまんの販売を開始したとのことです。
嗜好の地域差は小豆の品質の差?
そもそもなぜこのように東西で嗜好が分かれたのでしょうか?
食文化に詳しい名古屋女子大学短期大学部の遠山佳治教授によれば、小豆の品質の差とのこと。
主な小豆の産地は北海道と兵庫県丹波、そして岡山県備中です。
その昔、北海道産の小豆は皮がやわらかく煮崩れしやすかったため漉して使うことが多く、丹波や備中の小豆は大納言といって煮崩れしにくい品種だったため、皮つきで使われたそうで、流通エリアが限られていた時から、そのまま地域差が生まれたのではないかとのことでした。
現代でも愛知県でこしあんの進出を阻まれるのは、小倉トーストのイメージが強いからではないかとも言われています。
寒くなったら食べたくなるのは、ぜんざいやおしるこ。井村屋ではつぶあんを使用したものが「ぜんざい」、こしあんを使用したものが「しるこ」として販売されており、東海地方でも7対3でぜんざい派ですが、圧倒的なつぶあんの人気のはずが、この地方には忘れてはいけないあの商品が!
紆余曲折「しるこサンド」誕生秘話
48年前から販売している「しるこサンド」作っているのは、愛知県小牧市に本社のある松永製菓です。
お話しを伺ったのは開発者の一人でもある石山和義さんと、コンプライアンス室の藤田大輔さんです。
使っているのはもちろん、こしあん。だから「しるこサンド」というネーミングにしたそうですが、つぶあん人気のこの地方でなぜこしあんを使ったお菓子を作ったのでしょうか?
実は当初はつぶあんで試作したのですが、ビスケットに挟んで焼き上げたつぶあんがとてつもなく固くなってしまったこと、表面がボコボコして見た目も悪くなってしまったそうで、つぶあんを使いたくてもつかえなかったそうです。
その結果大ヒットし、この地方を代表するお菓子となりましたが、つぶあんに対する想いは消えていないとのこと。つぶあんのサンドを作るのは社の長年の夢、目標だそうで、引き続き開発はしていくとのことです。
「ぜんざいサンド」が発売されるのも楽しみですが、私は個人的にこしあん派です。しるこサンドはそのままで十分おいしいと思います。(ライター:神谷祐美)