リピーター続出、シニア層がハマる「北海道・道の駅ツアー」
主要道路に鉄道駅のような施設を作って、ドライバーらが休憩したり、特産品を買ったり、地元住民と交流してもらおう――そんなコンセプトから誕生した「道の駅」は、発足から20年が経過した。この間、道の駅は旅人の休憩場所から目的地へと進化し、地域の重要拠点となったところも少なくない。
日本で最も駅の数が多い北海道。2014年8月7日現在で登録数は114に達するが、それらを巡るバスツアーが人気を集めている。
なかでも大手旅行会社の阪急交通社(大阪市北区)のバスツアーは、閉鎖中を除くすべての駅を11回に分けて周るというもの。全部制覇するには1年くらいかかるが、のべ2400人が参加するヒット商品となった。
北海道の食に舌鼓
テレビ東京系で5日に放送された経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」によれば、参加者の多くはシニア層で、しかもそのほとんどがリピーターだという。1泊2日の旅程で料金は1万6980円。
●客の目当ては「あげいも」
バスは朝7時にJR札幌駅を出発、道南エリアに点在する道の駅を目指す。最初の目的地は「道の駅 望羊中山」(喜茂別町)。札幌市南区との境にある中山峠に立地し、羊蹄山を望めるロケーションだ。
この駅一番の名物は、羊蹄山山麓の男爵イモを使用した「あげいも」だ。ホクホクの食感にツアー参加者は舌鼓を打つ。
●希少果実「グズベリー」が買える!
次の行き先は、望羊中山から車で約192キロ離れた「道の駅 あっさぶ」(厚沢部町)。こちらの目玉商品はグズベリーという果実で、日本国内ではほとんど流通していない希少品だ。
●北海道のダイナミックな自然を体感できる
「道の駅 上ノ国もんじゅ」(上ノ国町)は、眼下に日本海が広がっている絶景スポットとして人気。「北海道ウォーカー」の絶景感動部門で金賞を受賞したことがあるという。
車はないけど「道の駅行きたい!」
●北海道唯一の国宝が展示されている
ツアー2日目は5カ所を周る。番組内で取り上げられたのは「縄文ロマン 南かやべ」(函館市)。太平洋に面する同駅には博物館が併殺されていて、約3500年前の中空土偶(北海道唯一の国宝)をはじめ、この地域で発見された縄文文化の遺物が展示されている。
道内の駅ではスタンプラリーを実施している。2014年4月19日~2016年3月21日の期間中に112駅以上の「道の駅」のスタンプを集めた人に対して、「全駅完全制覇認定証」と「全駅完全制覇ステッカー」をプレゼントしている。
全駅制覇に至らなくても5駅以上のスタンプで応募できるプレゼント企画を実施したり、スタンプブックを売店等で提示すると1冊につき1名特別サービスを提供する駅もある。
こうした試みが道の駅ファンの心をくすぐり、スタンプ集めに夢中になる人が増えている。
ところで、北海道の交通手段は9割近くが車にシフトしているが、意外にも自家用車所有率は東海地方や中国地方ほど高くない。生活費を節約するため「1人1台ではなく、1家に1台」という家庭も珍しくなく、公共交通機関でこと足りる地域の若者や高齢者は車を持たないケースも増えている。人口191万の札幌市はその傾向が強いようだ。
一方で道の駅のサービスは年々洗練されている。バスツアー参加者のうち道民の占める割合がどれくらいか定かではないけれど、「行ってみたいけど足が...」というニーズをうまく汲み取った企画といえるだろう。
北海道の道の駅ツアーの成功を受けた阪急交通社では、四国と中国でもバスツアーを展開している。
今日、テレビ東京系列「ガイアの夜明け」で道の駅特集があります♪
その中で、北海道で行なわれている阪急交通社さんの道の駅ツアーが取り上げられますが、実は四国でも同様のツアーが始まっています!... http://t.co/QwrW4kp5Ne
— 道の駅「滝宮」・綾川町うどん会館 (@takinomiya) 2014, 8月 5