新たな鉄鋼連合組織が炭素排出の測定と削減の透明な気候重視の基準を推進
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【ワシントン2022年11月17日PR Newswire=共同通信JBN】主要鉄鋼メーカーの国際団体は17日、利用可能な最も汚染の少ない鉄鋼生産工程の利用を鉄鋼メーカーに促す世界的排出基準の採用を米国と欧州連合(EU)に働き掛ける連合組織の設立を発表した。
新しい連合組織Global Steel Climate Council(GSCC)は低炭素排出鉄鋼への移行を加速する世界的基準を支持し、炭素排出を削減する再生・循環鉄鋼モデルの潜在性を認識している。
米国とEUは鉄鋼生産の新しい排出基準について交渉している。GSCCは、いかなる合意も鉄鋼の生産方法ではなく、発生する排出量に焦点を当てるべきだと主張する。世界の鉄鋼生産の大半は、採掘・加工された石炭、鉄鉱石、石灰岩に主に依存しているため、極めて炭素集約的である。しかし、他の鉄鋼メーカー(今日、米国の全鉄鋼生産量の70%、欧州の全生産量の40%をそれぞれ超える企業を含む)は、主として再生スクラップ金属を投入して鉄鋼を生産し、炭素排出量を大幅に少なく排出する電気炉(EAF)を使用している。
協議会創設メンバーでNucor Corporation(ニューコア)のLeon Topalian会長・社長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれには今日、鉄鋼生産の炭素排出を70%削減する技術がある。世界中のグリーン経済とデジタル経済は鉄鋼で構築され、それを構築する鉄鋼は重要だから、世界の鉄鋼産業は、米国ですでによりクリーンな鉄鋼生産につながっている技術革新に基づいて構築する必要がある」と語った。
高排出鉄鋼メーカーが支持する「スライド制」基準は、鉄鉱石からの抽出製品の温室効果ガス排出基準上限を再生製品の最大9倍に設定し、電気炉(EAF)による生産者に不利益となり、より高排出の鉄鋼を「グリーン」と誤表示することを容認する。一方は他方の何倍もの炭素を排出して製造されるのに、スライド制ではこの2種類の鉄鋼製品が同等に「グリーン」と分類される可能性がある。
協議会創設メンバー、Steel Manufacturers Association(SMA、米鉄鋼製造業協会)会長でSteel Dynamics(スチール・ダイナミクス)のMark D. Millett会長・社長兼CEOは「鉄鋼は世界の重要インフラストラクチャーを含め、私たちの経済にとって不可欠である。この新しい基準は、温室効果ガス排出の実際の削減を加速し、主要な意思決定者に情報に基づく意思決定のための正確なデータを提供するだろう」と述べた。
協議会創設メンバーで欧州の低排出循環鉄鋼の主要生産者CELSA Group(セルサ・グループ)のFrancisco Cardona広報部長は「炭素排出量が大幅に少ない同じ製品が市場で入手可能なら、排出量が多い方の製品のメーカーがそれをグリーンに分類することを防止しなければならない」と語った。
GSCCの主な焦点は、次の指針を中心とした基準の確立である:
*世界の鉄鋼業界からの温室効果ガス(GHG)排出量の削減
*技術・製法にとらわれない基準の確立
*スコープ1、2、3の排出量を含むシステム境界がある基準の確立
*2050年までの気温上昇をセ氏1.5度以下とするシナリオを達成するため、科学に基づくグライドパスに沿った基準の確立
*適切な意思決定者に持続可能な鉄鋼生産の関係情報の提供
協議会創設メンバーでSteel Manufacturers Association(SMA)のPhilip K. Bell会長は「GSCCの単一基準は、すべての生産者に炭素排出量の削減を促し、すべてのメーカーにとって同じ競争条件を生み出すだろう。米国とEUの交渉は、二重基準とより汚れた環境への危険な道を作り出すべきではない。私たちはもっとうまくやれる」と述べた。
▽Global Steel Climate Councilについて
Global Steel Climate Council, Inc.(GSCC)は、最優良事例を共有し、基準を確立し、鉄鋼業界メンバーによる炭素排出削減を提唱することにより、気候戦略を前進させるために組織された非営利団体である。
GSCCには鉄鋼メーカー、業界団体、最終利用者、スクラップ金属供給業者や非政府組織の20を超えるメンバーと支持者が含まれる。
GSCCの具体的な目的は、技術にとらわれず、スコープ1、2、3の排出量を含むシステム境界があり、2050年までのセ氏1.5度シナリオを達成するための科学に基づくグライドパスに沿った削減方法を支持することにより、世界の鉄鋼業界からの温室効果ガス排出量の削減に注力することである。
GSCCの創設メンバーは、Steel Manufacturers Association(SMA、米鉄鋼製造業協会)、Nucor Corporation(ニューコア)、CELSA Group(セルサ・グループ)、Steel Dynamics, Inc.(スチール・ダイナミクス)、Commercial Metals Company(コマーシャル・メタルズ)、Institute of Scrap Recycling Industries(米国再生資源協会)である。
詳細はhttps://globalsteelclimatecouncil.org/ を参照。
▽問い合わせ先
media@globalsteelclimatecouncil.org
ソース: Global Steel Climate Council