「ゆるキャラ」戦国時代 ふなっしーと1位争った「オカザえもん」の正体
2013年8月6日に発表された「ご当地キャラ総選挙2013」は、千葉県船橋市の「非公認」キャラ・ふなっしーが1位を勝ち取った。テレビ出演の影響もあってか断トツだったが、2位に食い込んだのがいま売り出し中の「オカザえもん」(愛知県岡崎市)だ。
そのオカザえもんが東京・原宿にやってくるというので、7日に記者が駆けつけた。うやうやしくお辞儀をしながらオカザえもんが登場すると、若い女性たちから歓声を上がった。おそろいの「崎」シャツを着た熱心なファンもいる。
会場のキャラクターショップ前にはたちまち数十人が集まり、カメラを向ける。
「あっ、オカザえもんだよ!」
「わー、気持ちわるーい(笑)」
グッズの販売コーナーにも、小・中学生から20代と見られる「女子」たちの姿が目立つ。まじまじと見つめた後、「......めっちゃカワイイじゃん」とつぶやく人も見かけた。
岡崎市の担当者も「小さいお子さんや若い女性に特に人気」と分析するように、その出で立ちが一種の「キモかわ」として受け入れられているようだ。
とはいえ独特の雰囲気ゆえ、目の前で泣き出す赤ちゃんも。露骨に警戒して近づこうとしない子どももいた。オカザえもんは(表情はわからないが)ちょっと戸惑いながら、めげずに愛想を振りまいていた。
ゆるキャラといえば、今大人気のくまモンのように、思わず抱きつきたくなるような丸みを帯びたシルエットと、かわいらしい顔立ちが一般的だ。ところがこのオカザえもん、体つきは普通の成人男性並み、顔もやけに中央に寄ったぎょろ目である。
色は白黒のモノトーンで、顔は「岡」、胸には大きく「崎」の文字が。他のキャラたちと並ぶと異様なほどの存在感を発揮する。しかも「設定」によれば年齢は41歳、4歳の息子を育てるバツイチの男やもめだという。
好物は地元の名物「岡崎まぜめん」などで、ジャズや現代美術鑑賞を趣味とする渋い一面も。いずれにせよ、およそ「ゆるキャラ」らしくない。
このオカザえもん、元々は2012年11月にアーティストの斉と公平太さんが、岡崎市の美術展に出品したことが始まりだった。「最初は『気持ち悪い』変なキャラクターとして、市民も遠巻きに観察していた」(岡崎市ウェブサイト)そうだ。
しかし地元で徐々に認知度をあげて人気も高まり、13年4月からは晴れて市から「岡崎市アート広報大臣」に任命され、8月から開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2013」のPRを担っている。
市の担当者によると、「市のPRへの貢献もあり、(オカザえもんへの)好意的な声が地元でも増えています」とのこと。メディアへの露出だけでなく、地域でゴミ拾いに参加するなど地道な活動も評価されているそうだ。