Withコロナ、Afterコロナの「道しるべ」/気がついたら茹でガエル?!
第1回 「気がついたら茹でガエル?!」
『茹で蛙』の寓話を聞いたことがあるでしょうか。
変温動物の蛙は、熱湯のなかにいきなり放りこまれると熱くて飛び出してしまうけれど、鍋の水のなかに入れて、じわじわと温度を上げていくと熱くなったことに気づかないまま茹であがってしまうという話です。
本書の7章「共感する力を育てる」やエピローグ「コロナ禍の今を生きるために」でも触れられていますが、これは笑っていられない話なのです。
コロナ禍という誰も経験したことのない事態になっても、現代では、ネットで買い物ができたり、オンラインで友人たちと食事しながら安全に話ができたりするわけですが、そうやって過ごすうちに、面倒なことを考えたり、自分で判断したりすることができなくなっているのかもしれません。心地よい環境で過ごすことは心を癒してくれますが、それだけを追い求め、それだけを優先してしまえば、知らぬ間に大切なものを失っていき、気づいたときには大変なことになっているのではないか。
著者は、今から70年近くも前に書かれた「華氏451度」という小説のなかに出てくる仮想世界の人々の暮らしを紹介しながら、警鐘を鳴らします。そこに出てくる人々のほとんどは、日々の快適な暮らしになんの不満もなんの疑問も感じず、ただ送られてくる映像や娯楽番組だけに満足しています。中央政府に反して、自分の意思で選んだ書物は家ごと華氏451度の火で燃やされてしまうのです。
ぬるま湯に浸かっているのはたしかに気楽で、心地よいことかもしれません。しかし、何も考えずに、ただ言われるがままに行動していれば、それはその人自身の生活とは言えないでしょう。
今を生きていくために、私たちには何ができるのか?
第1回 気がついたら茹でガエル
第2回 まずは「この私」にエールを!
第3回 自分自身のアップデートを怠らない
第4回 死を忘れないことが生きることにつながる
第5回 家族と一緒にいる今だからできること
第6回 相手に真剣に接すれば言葉はもっと生きてくる
第7回 悩みを吹き飛ばすには、今を丁寧に生きること