寒空の下、冷え切っていく身体。 そこへ差し出された温もりは、忘れられないものに......。 京都府在住の読者・Tさんの学生時代の思い出。 スポーツカーが寄ってきて(画像はphotoAC) <Tさんからのおたより> 大学生の時、奈良で派遣のアルバイトをしていた時のことです。 その日の私の仕事は、お店の駐車場の前で大きな看板を車道に向かって掲げてアピールし、来店を促すというもの。朝から風が強く、気温も低い日でした。 看板は重たく、風に煽られ、お昼からは手や体が冷え切っていました。 「寒そうだから...」 学生だった私は、これでお小遣い程度でも稼げるならと必死でした。 朝から立ち続け、疲れて看板を持つこともつらくなってきた午後3時頃、1台のスポーツカーが駐車場に入ってきました。 降りてきた細身で背の高い男性は、15分程度で店から出て、入口付近の自販機で飲み物を購入していました。 そんな何でもない光景を見ながら、私はひたすら看板を振っていました。 その時です。駐車場を出ようとした先程のスポーカーが、私に車体を寄せるように止まりました。運転席の窓が開き、男性が私に声をかけてきました。 「寒そうだからこれあげる。何もしてあげられないけど、頑張ってね!」 差し出されたのは、購入したばかりの温かい缶コーヒーでした。わたしが戸惑っているうちに、スポーツカーは走り去ってしまいました。 それをカイロ代わりにもうひとがんばりし、大阪の自宅に帰った午後7時頃でも、その温かさが残っていたのを、10年以上経った今でも覚えています。 一瞬のことで、顔も名前も分からなかったけど、その男性への感謝の気持ちは忘れていません。 【このコーナーでは読者のみなさんからの投稿を紹介しています】 名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」、あるいは「どんなもんだい!」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。 Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」「親切自慢エピソード」「親切目撃談」などを募集している。 読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。 読者投稿フォームから送る 公式XのDMで送る メールで送る ※本コラムではプライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください