「結婚3年目の記念に夫と二人で富士登山。体力に自信のない私は、下山中に足が痛くなり...」(愛知県・30代女性)
口から出るのは「痛い、痛い」
夫は十数年前と数年前に2度富士山に登頂していて、その時は余裕で夕方には下山が出来たそうです。
だから、今回もそのつもりだったようで、午後2時半頃から下り始め、暗くなる前には五合目まで下山出来ると思っていて、ライトも持ってきていませんでした。
でも実際は登る時くらい時間を掛けて下りることになり、途中で日も暮れてきました。その時点で、往復で買ったバスの帰りの切符は諦めました。
ホテルも取ってあるので一刻も早く下山しなければなりません。けれど足が痛い。思うように進めない......。
そのうち、下山する人もいなくなりました。
19時半頃には、辺りは真っ暗。踏み外さないようにしなければ。
足の痛みに視界の悪さ、ますます降りるのに時間がかかる......。それでも降りるしかない。泣きそうになりながらも下っていきました。
今日のうちに下山出来るのだろうか、動けなくなって朝まで野宿することになるのだろうか、そんな嫌なことばかりを考えてしまう。口から出るのは「痛い、痛い」と訴える言葉だけ。それでも二人で、亀の歩みで下っていきました。
そんな時、後ろから久しぶりの下山者が現れたのです。頭にライトを付いていて、明るい。