「閉所恐怖症の私は新幹線で大パニック。隣席の青年に『手を繋いで』とお願いしたら...」 体験談に8万人感動
新幹線で、初対面の男性に「手を繋いでほしい」とお願いしたら──。
そんな奇妙な体験を描いたエッセイ漫画が、X上で注目を集めている。
作者は、自身の体験談をもとにした漫画をSNSで公開しているぼめそ(@bomesodays)さん。
2024年8月13日に投稿したのは、「初対面の男性に握手をお願いした話」という作品の前編だ。
漫画の冒頭でぼめそさんは、隣の座席の男性客と手を繋いでいる。"握手"というにはかなりしっかりと繋いでいるが......。
一体なぜ、ぼめそさんはこんな状況になっているのだろうか?
新幹線が「地獄」と化して...
時は少し遡り、2015年6月某日、ぼめそさんは新幹線に乗っていた。一見すると寛いでいるように見えるが......。
じつはこの時のぼめそさんは、呼吸は荒いわ体は震えているわで、かなり具合が悪かった。
何故なら......。
ぼめそさんは、新幹線に乗るだけで気分が悪くなるほどの「閉所恐怖症」だったのだ。そのうえ、当時はパニック障害と軽度の鬱も抱えているという、三重苦の状態だったという。
しかし、身内に不幸があり、やむを得ず1人で新幹線に乗らなければいけなかった。
当然、ぼめそさんを待っていたのは快適な旅路などではなくて......。
大パニック状態に
「無理無理無理ムリぃー!!」
「もう気絶したい...!!」
案の定、新幹線に乗車したぼめそさんは恐怖とパニックのどん底に。かといって、途中で下車したら用事に間に合わないのでそれもできない、という大ピンチに陥ってしまう。
さらに......。
立っていても窓の外の景色を見ていても症状は緩和せず、寝ることもできないぼめそさん。
少しでも広い視界を得ようと通路側の席に座ろうとしたのだが。
タイミング悪く、そこに別の乗客が座ってしまった。
広がるどころかより一層視界が狭くなってしまい、ぼめそさんはいよいよ大パニック状態になってしまう。
「手を繋いでくれませんか?」
パニックのあまりまともに声も発せず、ついには呼吸までままならなくなってしまうぼめそさん。
このままではまずいと、ぼめそさんは行動を起こす。
もはや冷静さは皆無。そんな状態にありながら、必死にピンチを乗り切る方法を模索した結果、ぼめそさんが出した答えが、これだった。
「すみません。手を繋いでくれませんか?」
そう。初対面の男性に握手をお願いすることだった。しかも、声を出すことができない状態だったため、お願いはスマホを使っての筆談だった。
とはいえ、隣の席の見知らぬ人がいきなり文面だけで「私と手を繋いで欲しい」と言ってくるなんて、男性側からすればびっくりどころの話ではない。
案の定、男性が困惑の表情を浮かべるのを見て、ぼめそさんは自分の突拍子もない行動を後悔する。
男性からの答えは...
「かひゅかひゅかひゅ...(すみません何でもないです)」
これ以上は他人を困らせるわけにもいかないと、ぼめそさんは言葉にならない言葉で引き下がろうとした。
そんなぼめそさんに対して、男性は......。
「良いですよ!」
「手繋ぎましょう」
なんと、詳しい事情も何も知らないはずなのに、笑顔で手を差し伸べてくれたのだ。
てっきり不審がられるだけだと思っていたぼめそさんは、男性の優しい対応に思わず涙。
相変わらずの「かひゅぅ」という情けない声を発しながら、差し出された男性の手を握り返したのだった。
18日、Jタウンネット記者の取材に応じたぼめそさんによると、その後は男性に手を繋いで貰ったおかげで、無事に目的地に到着することができたそうだ。
ぼめそさんが新幹線で体験した心温まるエピソードに、X上では8万件のいいねが寄せられている。
しかも、漫画を投稿した後、当時助けてくれた男性からぼめそさんに連絡があったそう。
「DMにてお返事をさせていただき、お話を伺う中で、当時助けてくださったお兄さんであることが分かりました! その瞬間はとても感慨深かったです!」(ぼめそさん)
なお、手を繋いでもらってから男性が下車するまでを描いた「後編」や、新幹線での体験の9年後の出来事を描いた「後日談」を含めた作品はkindleで無料公開されている。
ぼめそ 閉所恐怖症の私が、初対面のお兄さんに手を繋いでもらった話 ぼめそのエッセイ漫画集