「意識を失った娘の頭が電車のドアに。とっさに『助けてください』と叫んだ私に近くの初老女性が...」(兵庫県・40代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Nさん(兵庫県・40代女性)
Nさんと娘はその日、電車に乗って京セラドームに向かっていた。
しかし途中の電車で娘が倒れてしまい......。
<Nさんの体験談>
5年前の6月8日土曜日の出来事です。
その日は当時中3年生の娘が神戸市内でのバスケットの試合に出て、その後、会場で合流して京セラドームで行われるライブへと向かう計画でした。
咄嗟に「助けてください」と叫び...
合流した私達は初めての駅から阪神電車に乗って扉付近に立っていましたが、試合の疲れからか娘が突然意識を失い倒れてしまったのです。
私は一瞬パニックになり咄嗟に「助けてください!」と叫んでから、倒れた娘の頭が扉にかかっている事に気付きました。
次の駅へ着いて扉が開いたら危ないと思い娘を抱き上げようとしたのですが、近くにいた初老の女性に落ち着いた様子で「動かさない方がいいわ」と言われ、隣にいた大学生らしき男性と周りの方が扉にかかっていた娘の身体を少しだけ移動してくれました。
女性は娘の脈を計り「正常よ、大丈夫」と私の手を握ってくれました。
しばらくすると娘の意識は戻り、「ここへ」と言ってくださったそばの座席の方に座らせてもらい、また別の方が「熱中症かも知れないから使うならどうぞ」と凍ったペットボトルを貸して下さいました。
女性が「次の駅でどなたか駅員さんを呼んで」と言うと初めに隣にいた大学生風の若者が「僕が行きます」と即答してくれました。
周りのたくさんの人たちが...
私には次の駅へ着くまでの時間がとてつもなく長く感じましたが、女性はその間もずっと「大丈夫よ」と励ましてくださいました。
次の尼崎駅に着くと、「僕が」と言ってくれた若者は駅に着いた瞬間、走って駅員さんを呼びに行ってくれました。
女性に娘を支えていただきながら私達も電車を降り、娘を座らせました。
女性にお礼を伝えペットボトルを返して、扉から中へ向かって「ありがとうございました」とお礼をして娘の所へ行きました。
そのうちに向こうから若者が駅員さんを連れて戻って来るのが見えたので、「電車が出たら困るので乗ってください」と言いましたが「僕は大丈夫です」と駅員さんを娘の所まで案内してくれました。幸い電車はその駅で数分停車するものだったので、私達のせいで遅延することも無く、男性も乗り遅れずにすみました。
けれど、駅員さんに事情を聞かれている間に電車は出発してしまいきちんとお礼が言えないままになってしまいました。
あの時居合わせた皆さんへ
私達はその後しばらく駅で休ませてもらい、少し遅れて目的地に着きました。
ライブは始まったものの途中で諦めて帰宅しましたが、翌日には娘の体調も戻り大事に至らずにすみました。
あの時居合わせて助けてくれたみなさんには今も感謝の気持ちでいっぱいです。
特に終始冷静に私達に寄り添って下さった女性には感謝してもしきれない思いです。
そして自分の事を顧みず必死に動いてくれた、大学生であろう若者には最後にお礼が言えなかった事を今も後悔しています。
本当ならもう一度会ってきちんとお礼が言いたいですが叶わないため、この気持ちが届きますように、この場を借りて心から「ありがとう」と伝えたいです。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、読者の皆さんに投稿していただいた体験談を、プライバシー配慮などのために編集している場合があります。あらかじめご了承ください)