「油断するとむせます」 ペヤング【ヒーヒー明太からし味】はむしろ〝からし味明太風〟
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百三十四回 まるか食品「ペヤングやきそば」の「かーかー明太七味」と「ヒーヒー明太からし味」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百三十四回目となる今回は、まるか食品の「ペヤングやきそば かーかー明太七味」と「ペヤングやきそば ヒーヒー明太からし味」の2品をレビューします。
ペヤングを製造販売する「まるか食品」は群馬県伊勢崎市にある即席麺メーカー。
現在でこそ全国に出回っている「ペヤング」ですが、長らく関東地方のみで販売されており、東日本の「ペヤング」・西日本の「UFO」といった棲み分けができていました。ちなみに、北海道には「やきそば弁当」、東北・信越には「焼そばバゴォーン」もあります。
明太子を主役に据えたカップ焼そば2品
そんな「ペヤング」2品は、「明太子」に着目した双子のような商品。
「たらこ焼そば」や「明太子焼そば」はカップ麺以外で見かけることはそれほど多くなく、カップ麺ならではのメニューと言えるかと思います。
カップ麺では、スパゲティやパスタの商品が減少している昨今。
「たらこ焼そば」や「明太子焼そば」が「たらスパ」の需要を拾っている一面があり、「UFO」や「一平ちゃん夜店の焼そば」などのビッグブランドからこぞって「たらこ焼そば」発売されています。
「ペヤング」からも過去に何度か登場。ド派手なパッケージカラーで注目を集めました。
これらは派手なだけでなく、ソースと具のダブルでしっかりたらこが感じられる良品でした。「ペヤング」はたらこ味の焼そばの実績十分と言えるでしょう。
今回の2品は、「かーかー」の「明太七味」と「ヒーヒー」の「明太からし味」で、明太子にそれぞれ七味とからしを組み合わせています。
「かーかー」とか「ヒーヒー」とか一見するとコミカルですが、「ペヤング」といえば「獄激辛やきそば」なんていう悪夢のような恐ろしい辛さの商品を出していたくらいなので、今回も当然ながら油断できません。
「明太七味」と「明太からし味」の内容物
「明太七味」と「明太からし味」の内容物。
両者ともにいつもの「ペヤング」の麺が入っています。
別添袋は「明太七味」が3つ、「明太からし味」が2つ。
いずれも「ソース」と「後入れかやく」が入っていて、「かーかー明太七味」の方だけ「ふりかけ」が入っていました。
また、「後入れかやく」は両者同じのもの。
双子商品らしく、ある程度の共通化がされているようです。
「ペヤングやきそば かーかー明太七味」
まずは「ペヤングやきそば かーかー明太七味」。
明太子といえばたらこに唐辛子を加えたものなので、たらこと七味に入っている唐辛子の組み合わせはまったく問題なさそうですが、唐辛子以外の「六味」との相性はどうなのでしょうか。
明太子風味のソースに、いつものペヤングの油揚げ麺と「後入れかやく」の明太子粉末、ネギ、そして七味唐辛子の組み合わせ。
ソースは明太子の風味を効かせた塩味ですが、他社のたらこ味焼そばに比べるとたらこの風味が弱く、ほんのり感じられる程度でした。
辛さもピリ辛~中辛程度に留まっており、あの「獄激辛やきそば」の面影はまったくない常識的な辛さ。
商品名の「かーかー」にも満たないかもしれません。
辛味が塩気を増幅し、やや塩辛く感じられました。
「後入れかやく」の明太子粉末とネギ。
どちらも量はそれなりに入っていますが風味は弱く、辛味や塩気の方が目立っていました。
七味唐辛子は香ばしい風味が感じ取れますが、たらこの風味がそれほど強くなく塩気や辛味に消されてしまうため、七味とたらこの相性はよくわかりませんでした。
「ペヤングやきそば ヒーヒー明太からし味」
続いては、「ペヤングやきそば ヒーヒー明太からし味」。
「明太子」のことを「からし明太子」とも言いますが、その「からし」はあくまで唐辛子のことで、黄色いからしと合わせているわけではありません。
今回の「明太からし味」は創作味と言えるかと思います。
からしのパンチが強い明太子味のソースに、いつもの油揚げ麺と「後入れかやく」の明太子粉末とネギが合わせられています。
こちらのソースも「明太七味」と同様にたらこの風味はそれほど強くありませんが、からしが強力。
麺を強く吸い込むと鼻や頭にツーンとくるレベルのからしが入っており、たらこの味どころではありません。
油断するとむせます。
「明太からし味」というより「からし味明太風」でした。
「後入れかやく」に入っている明太子粉末とネギ。「明太七味」に入っているものと共通でした。
たらこやネギの風味が感じられますが、ソースのからしの強さに比べるとおとなしく、脇役に回っている印象です。
からしの威力が印象に残る
「ペヤング」の明太子に着目した「かーかー明太七味」と「ヒーヒー明太からし味」の2品でしたが、両者食べた後で印象に残るのは「ヒーヒー明太からし味」の強力なからし味。インパクトのある商品でした。
七味は特段「かーかー」ではありませんでしたが、からしは確かに「ヒーヒー」です。
一方で、他社のたらこ味カップ焼そばに比べて今回の2品はたらこの風味がおとなしく、たらこに主眼を置いて食べようとすると少し物足りないかもしれません。
遊び心のある「ペヤング」の商品だと思って食べるのが良さそうです。