ロングシートの普通列車が「夜行列車」として運行 「もはや修行」なプランにネット困惑も...発売1時間で完売の理由とは
こんな場所で一夜を過ごすなんて、できるんだろうか......。
とても令和のものとは思えない「夜行列車」が2024年2月24日、新潟県を走る。
1月26日、新潟県上越市の鉄道会社・えちごトキめき鉄道が発表したのは、普通列車車両「ET127系」を使用した企画列車「普通夜行列車」の運行。
普通列車車両......つまり、通勤で使うような、"フツーの電車"である。もちろん寝台なんてついていない。
あるのは、普段はみんなが横並びに座っている、ロングシートだけだ。
このロングシートだけの電車に乗った乗客たちは22時9分、直江津駅を出発する。目指すのは妙高はねうまラインの終点・妙高高原駅。到着したら......また直江津に戻る。その後、電車は再び妙高高原へ向かい......朝6時18分に直江津に戻ってくる。
つまり、夜中に普通電車に乗って、直江津と妙高高原を上がったり下がったり2往復するだけの旅である。なにそれ?
ストイックすぎる「夜行列車」に、X上では困惑するユーザーが続出。こんな声が上がっている。
「オールC寝台爆誕w」
「夜行でロングシートは苦行過ぎて、もはや修行ですやんww」
「トキ鉄は面白いなぁ」
何故こんな夜行列車を運行することにしたのか。1月29日、Jタウンネット記者はえちごトキめき鉄道を取材した。
参加する猛者、居るの?
取材に応じた同社経営企画課の山田直哉さんによると、えちごトキめき鉄道ではこれまで、ボックスシートもある413系・455系観光急行車両で、夜行列車イベントを行ってきた。
しかし、その車両が3月末まで検査で運休に。その状況下で出てきたアイデアが、
「じゃあ普通列車を夜行列車にしたら面白くない??」
というモノ。「令和の普通夜行列車」発案の瞬間である。
まあ、思いついたのはいいとして、こんなストイックすぎる旅に参加したい猛者、存在するだろうか。疑う記者に山田さんは信じがたい事実を教えてくれた。
なんと、販売1時間後に全16席が売り切れたというのだ。
まじで? ロングシートしかなくて、ただただ線路を2往復するイベントが、1時間後に完売?
もしかして、何か記者が知らなかった魅力を秘めているのだろうか。例えば、夜景が超キレイとか?
「まったく見えないです......」(山田直哉さん)
夜景、まったく見えなかった。追い打ちのように「暖房は効いていますが、寒いかもしれませんので、自分で防寒対策してください」とも語る。
夜通し電車に乗るのに、ロングシートしかない・車窓風景は楽しめない・寒いかもしれない・どこかに行けるわけでもない。
そんな4つの「ない」が揃ってしまった夜行列車が、即完売する理由とは? 山田さんは、こう推測する。
「他では決して味わえない非日常が味わえるからではないでしょうか」
――非日常。確かにこのイベントには、「ここでしか体験できないこと」が沢山ある。
ロングシートを占領して横になることひとつとっても、他の電車でやったらマナー違反になるし......。
そう思えば、なんだか面白そうだ。