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1000年以上の伝統受け継ぐ鍛冶職人は、何故「ロリータ包丁」を打ったのか 兵庫県三木市の【珍返礼品】鍛えた熱き魂の叫び

藤本

藤本

2024.02.12 13:00
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Jタウンネット記者はある日、ふるさと納税サイトで変わった包丁を発見した。

その名も「ロリータ包丁『JULIETTE』(ジュリエット)」。サイト内では、次のように説明されている。

「漆黒を纏う乙女の為の料理包丁。蝶が宿った刃とまるでスカートの様なレースで暗黒の円舞曲を奏でます」

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何を言っているのだろう。全く意味が分からない。蝶が宿った刃とまるでスカートの様なレースって、何? 暗黒の円舞曲とは?

読者はきっと、そんな気持ちになったはずだ。でも、これを見れば納得するだろう。

スッゲエ(画像提供は田中一之刃物製作所、以下同)
スッゲエ(画像提供は田中一之刃物製作所、以下同)

蝶が宿った刃とまるでスカートの様なレース、である。暗黒の円舞曲が何かは分からないが、まあ、この包丁があればそんなものも奏でられるであろう。きっと。

こんな包丁、見たことない。奇抜なデザインに目を奪われた記者。そのまま寄付金額を見て、目玉が飛び出そうになった。

ふるなび:52万8000円
ふるさとチョイス:52万8000円
楽天ふるさと納税:50万円

いや、高すぎか? 誰か寄付する人、いるのか?

Jタウンネット記者は2024年1月10日、ロリータ包丁を返礼品にしている兵庫県三木市を取材した。

受け取った人は...

三木市役所総合政策部縁結び課の担当者によると、ロリータ包丁『JULIETTE』を返礼品として受け取った人は、返礼品登録された2015年から今までに、1人だけ居るという。居るんだ......。家で、使っているんだろうか。みじん切りとか、できるんだろうか。

受け取った人、いました
受け取った人、いました

ところで、この超絶ユニークな包丁を作ったのは、市内にある田中一之刃物製作所の代表で、鍛冶職人の田中誠貴さん。三木市は古くから金物作りが盛んで、「日本で最初の金物のまち」とも言われる。三木工業協同組合が運営する「三木金物」のウェブサイトによると、その歴史は1500年前から続いているという。

そして同サイトの田中一之刃物製作所の紹介ページにはこんなことが書かれていた。

「代々鍛冶職一筋、伝統を受け継いで参りました」

......なんだか、ロリータ包丁とのギャップを感じないでもない。田中さんは何故、蝶が宿った刃を持つ包丁を、作ったのだろう。記者の問いに、田中さんが語り始めた。

「包丁やナイフに興味のない方にとっては、世界一だろうが100均の包丁だろうが『ただの包丁』『あぁ...包丁ね...』『切れたら怖い』程度の認識。そのことに『な、ん、だ、と...これではイカン!』」(田中さん)

このままでは、福井・越前の親方、その師匠、そのまた親......と1000年以上の長きにわたって刃物を鍛え、技術を伝えてきた先人たちに、顔向けできない――田中さんは、そう思ったのだ。どうすれば、自分たちが作る刃物の技術のすばらしさ、切れ味の気持ちよさを、多くの人に知ってもらえるのだろう。何をすればいいのだろう。ノートにアイデアやラフスケッチを描く日々が続いた。

「こんなん作ってどうするん?」「アホちゃうか」

そしてある日、1人のデザイナーと出会ったという。田中さんは、自分のアイデアを共有した。

「こんなアイデアがあるんやけど~どうかいのぅ?ww」と仁義なきヤマモリのオヤジ風に何気に話すと、
「コレ!もう神っす!きっちりデザインし直しますんで、あとはソンナぁの好きにしたらエエ思うんじゃ」とデザイナーまでもが仁義なきブン太の様になり、商品化にむけて走りだす。(田中さんのメールから抜粋、原文ママ)

そして出来上がったのが、のちにジュリエットになるゴスロリ風のデザイン。そして、「蝶々のゴスロリ ジュリエットだけではパンチが弱いので」ということで、もう1パターンのデザインも考えてきたという。

ハートやウサギがかわいらしいロリータ包丁「Lappin」(ラピン)
ハートやウサギがかわいらしいロリータ包丁「Lappin」(ラピン)

商品化に向けて走り出したはいいものの、ロリータ包丁を作るにあたっては、外注が必要な作業もある。田中さんはほとんどの外注先で「こんなん売れるんか?」「こんなん作ってどうするん?」「アホちゃうか」と言われた。

包丁は長い歴史の中で、使いやすいように極限まで無駄を省かれ、現在の形になっている。そこにわざわざ無駄なモノを付け足してゆくのは「愚かな行為」だと、田中さん自身も恐怖を感じたそうだ。

しかし、「職人仕事は、その意味を理解し熱意がないと心が入らないので面白い製品にならない」――そんな熱い思いを胸に、製品の意図を延々と説明し、理解してもらった。

関係者の心が入ったのだろう。ロリータ包丁は各種メディアで取り上げられる「面白い商品」に仕上がった。だから、「少しでも地元のPRになればと思い(返礼品として)出品しています」(田中さん)。

金物の街の鍛冶職人、田中誠貴さんが一本一本手作りで仕上げる「ロリータ包丁」。気になった人は、ふるさと納税サイトを覗いてみてほしい。

兵庫県 三木市 ロリータ包丁「JULIETTE」(ジュリエット)

兵庫県 三木市 ロリータ包丁「Lappin」(ラピン)

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