強そうで優しい、優しいが強い 秋田で愛される漆黒スープの「末廣ラーメン本舗」再現カップ麺は食べる価値十分
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百二十二回 明星食品「末廣ラーメン本舗 醤油中華そば」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百二十二回目となる今回は、明星食品のカップ麺、「末廣ラーメン本舗 醤油中華そば」をレビューします。
秋田の名店「末廣ラーメン本舗」の味が再現されています。
秋田人溺愛「末廣ラーメン本舗」
東北地方は、青森の津軽ラーメン(煮干し)、宮城の仙台ラーメン(味噌)、福島の喜多方ラーメンや白河ラーメン(醤油)、山形の米沢ラーメン(醤油)や鳥中華など、ご当地ラーメン文化が盛ん。
そんな東北地方にあって、秋田や岩手には他の4県ほどご当地ラーメンのイメージはないように思います。
ただ、両県とも麺文化はガッチリ根付いており、岩手は「わんこそば」「盛岡冷麺」「じゃじゃ麺」がありますし、最近は「大船渡さんまらーめん」も有名に。
秋田も、B-1グランプリを制し日本三大焼そばにも数えられる「横手やきそば」、そして「末廣ラーメン本舗」があります。
末廣ラーメン本舗は、秋田で愛されている名店で、全国的にも秋田のラーメン店といえばまっ先に思い浮かぶ存在のひとつ。
お店のラーメンは醤油味の漆黒なスープが名物です。
真っ黒なスープと言えば京都の「新福菜館」が有名ですが、「末廣ラーメン本舗」の先代が「新福菜館」で修行し、その味を東北に合うように改良したとのこと。
現在も「新福菜館」から直送されるたまり醤油のかえしを用いてラーメンが作られているそうです。
今回レビューするカップ麺は、その「末廣ラーメン本舗」の味が再現されています。
明星食品「末廣ラーメン本舗 醤油中華そば」の内容物
内容物は、「液体スープ」「かやく」「あとのせかやく」の3つ。
カップの中にはノンフライ麺のみが入っており、麺量は70グラムでどんぶり型カップ麺の標準的なボリュームとなっています。
お湯を注ぐ前に入れるのは「かやく」のみで、中にはチャーシューが1枚入っていました。
それほど大きくはないですが脂身が多めですね。
漆黒なのにやさしい味のスープ
真っ黒な醤油味のスープに中細のノンフライ麺やチャーシュー、ネギが合わせられています。
かなりシンプルな構成ですが、とにかくスープが特徴的。
鶏豚のベースにロースト醤油とたまり醤油を用いた真っ黒なスープ。
この真っ黒なスープを見てしまうと、「富山ブラック」のような塩辛くてライスが欠かせないような味なのか? と想像してしまいます。
しかし、たまり醤油由来の香りが強い一方で塩気はそれほど強くなく、醤油のコクが強く感じられます。
醤油のコクの後ろから鶏や豚の甘みがやってくるのですが、真っ黒でいかにも塩辛そうなのに意外とそうでもないことからくる錯覚もあるのかもしれません。
同様の特徴は「新福菜館」にもあり、醤油ゴリ押しに見えてむしろ甘く感じるのは面白いですね。
チャーシューやネギにもこだわり
麺は、中細で縮れのついたノンフライ麺。しっとりした低加水麺食感で、懐かしの中華そばらしい形状と食感です。
醤油味のスープと相性がとても良く、真っ黒なスープの中で麺の甘みが映えていました。
スープが甘く感じたのは、麺の甘みも大きく影響していそうです。
チャーシューは脂身が多いタイプでジューシー。
お店では豚バラ肉がたくさん入っているのを、脂身の多さで再現していました。
ネギはあとのせタイプ。
ルーツである「新福菜館」の京都は九条ネギが有名で、「末廣ラーメン本舗」のお店でもそのDNAが受け継いでいます。九条ネギこそ使われていないものの、ネギが入れ放題となっています。 今回のカップ麺のネギは青ネギが中心で、後入れにすることで風味の良さを保っていました。
ゴツく見えてやさしいけど...
秋田で愛されているラーメン店「末廣ラーメン本舗」の真っ黒なスープを再現した商品で、ゴツく見える色味の黒さとは裏腹にやさしい味わいで、昔懐かし雰囲気がありました。
そりゃ創業1938年だから当たり前といえばそれまでですが、昔ながらの味が好きな人に特にオススメしたいです。
たまり醤油の香りの奥からやってくる甘みが印象的で、食べる価値十分!
塩気が強そうで実はやさしい味......と思いきや、原材料を見ると塩分量がやさしいわけではありません(食塩相当量7.2グラム)。
塩分摂取に気をつけている場合はスープを飲み干さないなど注意が必要です。
あまりにスープが真っ黒なので奥を見ようと覗き込むと、黒いスープの奥もまたこちらを見ているかもしれません。