「借金返済と息子への仕送り。食事もままならないシングルマザーの私は、道に倒れた車椅子男性を見つけて...」(宮崎県・50代女性)
シリーズ読者投稿~自慢になってすみません~ 投稿者 :Nさん(宮崎県・50代女性)
シングルマザーのNさんは、借金の返済や息子への仕送りなどで困窮し、自分の食事さえままならない生活を送っていた。
そんなある日、彼女は歩道で男性が倒れているのを見つけて......
<Nさんの体験談>
7年ほど前のことです。私は息子とのふたり家族、いわゆる母子家庭でした。
かっこよく言うならシングルマザーですが、その生活は優しいものではありませんでした。
働いても空回りの日々で...
ダブルワーク、時にはトリプルワークをしながら、東京の大学に行った息子の学費や生活費を仕送りし、さらには借金を返済しながら生活していました。
それ加え、同居猫の老齢に伴う治療費などもかかり、自分が食べることもままならない毎日です。
借金返済の負担も大きく、仕事をしてもしても空回りの日々。私一人の収入ではとうてい明るい未来は見えてきません。
「一人」というと気楽なイメージもあると思いますが、何をするにしても全責任を「一人」で背負う、ということです。誰にも相談できず、気持ちは落ちていくばかり。
明日どうしよう、今度の返済はどうしよう。そんなことを考えながら仕事帰りに車を運転していると、歩道に男性が倒れているのを見掛けました。傍には車椅子があったので、座ったまま転んだようです。
誰も気にも止めず車は過ぎて行くばかり。
私は善人でもなければ、ボランティア精神のあるような人間ではありません。自分がいちばん、自分のことでいっぱいいっぱいの人間です。
それでもその時は、なぜか「手を貸してあげなきゃ!」と思って、近くの駐車場に入り、男性のもとへ急ぎました。
「何やねん!」と思ったけど...
「おっちゃん肩につかまって!」
そう言うと、男性は不機嫌そうに私の肩につかまり車椅子に座りました。
そして、怒ったように「この歩道が悪いから車椅子は通りにくいわ!」と吐き捨てて、去って行きました。
「おっちゃん気ぃつけて!」
去って行く後ろ姿にそう声を掛けて、私はまた車に乗り込み帰路に着きました。
自宅に帰ってから、「さっきのおっちゃん何やねん!」と思いましたが、日々の生活に疲れていた私は、あのおっちゃんに救われたことに気付きました。
自分のことしか考えられず、どうにも出来ないと思っていましたが、「ああそっか、私はまだ誰かに手を貸すことができる。まだまだ心に余裕があるんだ」ということに気付かされたのです。
私も50歳を過ぎました。そのうち誰かに手を貸してもらうこともあるかもしれません。
そんなときは、「ありがとう」と言える心の余裕があるといいな、と思います。
誰かに聞いてもらいたい「親切自慢」、聞かせて!
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