銚子電鉄、衝撃のコラボ成立に王手 夢グループを口説き落とした「おにぎり話法」と「デーの女神」とは【エピソード3:灼熱の護国寺編】
切ない現実で同情をひけ!
A氏が東京・護国寺にある夢グループ本社を訪れたのは、気温が35度もあった、灼熱の2023年8月3日。
待っていたのは、ビシッとしたスーツに身を包んだ夢グループの広報部長。対するA氏はポロシャツ(一応襟付き!)・チノパン・スニーカーで、「完全にゴルフ帰りによくいるオッサンである」(本人談)。
しかし、広報部長は嫌な顔ひとつせず、「遠路はるばるわざわざお越しくださりありがとうございます」とねぎらいの言葉をかけてくれたそうだ。

さて、さっそくコラボについて打診したいところだが、お笑いでも商談でも、「掴み」が弱くちゃ話にならない。世間話なんかしている場合じゃないのである。
そこでA氏は開口一番、語りだした。
「えー、銚子電鉄は万年赤字のローカル鉄道です。お金はありません。電車に乗ってもいい景色もありません。電車を運行するため、ぬれ煎餅を焼いて売っています。
夢グループさんと、今時点では何かわかりませんが、何か面白いことをしたいと思い来ました。もし協力いただいてもお金は無いので何か他の形でお返しするしかないのですが、それでも良ければお話を聞いていただけないでしょうか?」
銚子電鉄の切ない現実を説明し、同情を引こうとしたのだ。
A氏はこれを、天才画家・山下清氏をモデルにしたドラマ『裸の大将放浪記』でたびたび登場する"幼少期に両親が他界したとウソをつくことで同情を引き、おにぎりをゲットするというワザ"になぞらえて「おにぎり話法」と名付けて使っているという。
そしてこの話法は、夢グループの広報部長に――通用したらしい。