「小学生の私にバケツの水をぶっかけた施設育ちの男の子。大人たちに叱られ、体罰まで受けたけど...」(愛知県・50代女性)
「ほんとうは違うの。ほんとうは違うの...」
彼が家に来ました。父に呼ばれて、母と共に彼の前に行きました。
彼は長かった髪の毛を丸坊主に刈られて、玄関先に地べたに正座をしていました。
何も言わない彼。大人たちが何かたくさん喋っていましたが、私には何も聞こえません。
彼の私を見つめる優しい眼差しから目を離す事ができませんでした。
ついに何かが溢れ出して奇声のような大声で叫びました。
「違う違う彼は悪くない。ほんとうは違うの。ほんとうは違うの。ほんとうは違うの...」
私は驚く彼の瞳を見つめたまま、自分がお漏らしをしてしまいそれを隠すため、庇うため、彼が咄嗟にバケツの水を掛けてくれたことを、息が止まるくらいの勢いで叫んでいました。
そこからはもう何も覚えていません。
その後、私が両親の協力で登校を再開した頃、彼は転校していて、その日以降会う事はありませんでした。
ただ父や母が言うには彼の事は心配無い元気で居るはずだ、と......。
先日、Jタウンネットで養護施設ご出身のTさんの投稿を読んで、胸が熱くなりました。きっと、彼に違いないと思ったから......。
あの時はゴメンナサイ。そして、ありがとう。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ごめんなさい』や『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくはtwitter.com(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)