イカは分身、タコは煙幕...「スミ」の違いが一目瞭然! 水族館に掲示された2つの「書」に反響
2023年8月23日、とあるX(ツイッター)ユーザーが投稿した次のような写真が注目を集めている。
習字の作品のようでもあるが、なぜか「イカ墨」「タコ墨」と書かれている。いったいこれは何だろう? 夏休みの宿題? まさか......。
この写真を投稿した「ももいか」さんは、イカ・タコの魅力を動画で発信する、知る人ぞ知るイカ・タコ専門のYouTuber。「イカ墨」「タコ墨」という書を鶴岡市立加茂水族館で発見し、感動したのだという。
なぜか。書の上に掲げられた案内板には、こんな説明が記されている。
「イカもタコも外敵から身を守るために使う墨ですが、
イカは『塊状に墨を吐き、分身のように見せかける間に退散』
タコは『煙幕のように広がる墨を吐き、敵の視界を遮る間に退散』
と使い方が違います。また、タコ墨は滲んで書きにくいようです。鉛筆がない時にはイカ墨がおすすめです。」(鶴岡市立加茂水族館展示解説より)
なるほど、そうか! 「イカ墨」の書はイカ墨で、「タコ墨」の書はタコ墨で書かれていたのか!
一目瞭然で、違いが分かる
投稿者「ももいか」さんによると、話題の写真を撮影したのは今年8月1日。「知人を通じて、イカ墨のおもしろい解説あるよーと教えていただいていたのですが、コロナ禍でなかなか見に行くことができなくて。 今回の訪問でやっと見ることができました!」と嬉しそうに語る。
「イカやタコが墨を吐くことは多くの方に知られているとは思うのですが、それぞれの違いを視覚的に良く表していて素晴らしい展示だなーと思いました。 解説文にも書かれていますが、イカ墨がまとまってタコ墨が広がるというのが一目瞭然ですね。 墨汁のように使うアイディアは面白かったですね!」(「ももいか 」さん)
次にJタウンネット記者は、山形県鶴岡市にある加茂水族館に電話した。広報担当者はこう話してくれた。
「イカは墨を吐くとき、自分自身も真っ黒になって、墨を吐き出すと、白くなります。まさに変身するのです。吐き出した墨は粘性が高く、黒いカタマリになるので、まさに分身の術のようです」
「タコの墨は煙のように広がるので、視界をさえぎります。まるで煙幕をはるみたいに......」
「墨の性質の違いをなんとか表現できないかと考え、書道の得意な飼育員がチャレンジしたのが、この説明板です」(加茂水族館広報担当者)
「イカ墨」「タコ墨」の性質の違い、お分かりいただけただろうか。この解説は、同館2階の海水魚の展示付近に設置されている。イカ・タコ実物は、時季によって変更されるそうだ。
加茂水族館の展示はネット上でも好評で、ももいかさんがXアカウント(@momoika_t)上に投稿したポストには、2万4000件を超える「いいね」(8月24日現在)のほか、こんな声も寄せられている。
「分身と煙幕の違い」
「イカスミの方がイカス!」
「こういう水族館本当に好き」
クラゲの展示で人気の加茂水族館だが、イカ・タコにも注目してはいかが。