「見たことない」「宝石のよう」 ラベンダー畑で目撃された「青すぎるハチ」の正体は?専門家に聞いてみた
突然だが、ハチの姿を思い浮かべてみてほしい。ブンブンブンと飛ぶ、虫のハチである。
読者の多くは、黄色やオレンジ色の中に黒い縞模様の入った昆虫をイメージしたのではないだろうか。
しかし、2023年夏、X(ツイッター)上で注目を浴びたハチはこんな姿をしていた。
紫色の花のそばに、明るいブルーに黒のボーダーの虫がいる。ポッテリと大きなお腹は確かにハチっぽいが......こんな色のやつ居るんだ!?
2023年7月30日にユーザーのayuminko(@_ayuminko_)さんが投稿した写真には8万7000件を超えるいいねのほか、こんな声が寄せられている。
「見た事無い!」
「綺麗な蜂ですね~」
「蜂苦手だったんだけど、この蜂は宝石のように美しくて好きだな......」
「青いハチ」の正体は?
8月1日、Jタウンネット記者の取材に応じたayuminkoさんによると、青いハチがいたのはラベンダーのそば。この花が大好きなayuminkoさんが写真を撮影していたところ、飛んできたのだという。
「蜂っぽいけど見たことないのでなんだろう???と不思議でした」(ayuminkoさん)
果たして本当にハチなのか。ハチなら、なんというハチなのか。記者は9日、多様なハチ類を研究する「玉川大学ミツバチ科学研究センター」に話を聞いた。
同センターの研究員は、ayuminkoさんが出会ったのは「ナミルリモンハナバチ」ではないかと述べる。ミツバチ科で、花の蜜や花粉を餌とするハナバチの一種だ。夏から秋にかけてセンダングサやマリーゴールド、ラベンダー等の花を訪れるという。
「日本産ハナバチ図鑑」(文一総合出版)によるとナミルリモンハナバチの仲間は日本だけでなく、極東ロシアや中国、朝鮮半島、東南アジアなどにも分布するが、生息地が限られている。
例えばどんな場所に生息するかというと、「スジボソフトハナバチ(スジボソコシブトハナバチ)」が多く分布する地域のようだ。
前田泰生氏らによる研究(1996、日本昆虫学会「昆蟲」Vol.64に掲載)によると、ナミルリモンハナバチは他のハチに「労働寄生」する。寄生される"宿主"がスジボソフトハナバチだ。ナミルリモンハナバチは宿主の巣の中に産卵し、孵った幼虫たちは宿主が自分の子のために集めてきた餌を食べて育つと推測されているとのこと。
「宿主であるスジボソフトハナバチの数が減ってしまうと、ナミルリモンハナバチも減ってしまうことが予想されます」(玉川大学ミツバチ科学研究センターの研究員)
日本国内では絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定している都道府県もあり、その珍しさから「幸せを運ぶ青いハチ」「ブルー・ビー」と呼ばれることも。このハチに出会えることを見どころにしている施設もあるため、ayuminkoさんのように偶然出会えるのは、かなりラッキーなことなのかもしれない。