「5合目」や「20合目」が頂上の山もあるらしい? 頂上が「10合目」じゃないワケを役所に聞いてみた
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」――8月11日は、そのために設けられた国民の祝日「山の日」である。
そこで今日は、山に関する豆知識をご紹介しよう。
山は「1合目」「2合目」「3合目」......と、山のふもとから頂上まで「合目」という単位で区切られている。日本国語大辞典によると、実際の距離や標高とは関係なく、登山する場合の困難の度合いを目安として全行程を10等分したものだという。
では、すべての山の頂上が10合目なのか。いや、実はそうではないらしい。
福島県の磐梯山の頂上は「5合目」と言われているし、長野県と岐阜県にまたがる恵那山は20合目まであるのだ。
いったい何故? 不思議に思ったJタウンネット記者は2023年4月、それぞれの山の「合目」について事情を知る方々に話を聞いた。
磐梯山、なぜ5合目まで?
磐梯町の商工観光課によると、磐梯山が5合目までというのは公式見解ではないとのこと。
しかし古くからの言い伝えが諸説あるため、5合目までと認識している人がいるようだ。
どんな言い伝えがあるのか。1つは、磐梯山の標高が1816メートルあり、大体富士山の標高の約半分になるため5合目と呼ばれているというもの。
もう1つは、磐梯山はかつて3000メートル以上あったのではないかと言われており、今の山頂はその半分ほどなので、5合目とされるようになったという説だ。
磐梯山ジオパーク協議会は別の説も教えてくれた。
それは、かつて修験者が磐梯山を登ったときに持って歩いていた灯籠に油をしみこませた松明のようなものに由来する。
「灯籠に火をつけて歩き続け、消えるまでの距離、これを昔の人は『1合目』と呼んでいたんです」
そして、山頂までは油5合分しか使わなかったため、「5合目」とされるようになった、というわけだ。
他にも、磐梯山は福島県内でもシンボル的な存在で、「会津富士」という別名も持つが、 山岳信仰をしていた人々が、富士山に敬意を表して頂上を10合目ではなく、その半分の5合目と呼びはじめたという話も伝わっているという。
20合目の恵那山では...
恵那山のある中津川市役所の文化振興課によると、 恵那山には一般に知られる4つのルートがあるが、そのうち前宮ルートだけが20合までになっている。
理由については分からないとしつつも、担当者は以下のように推測している。
「恵那山の登山ルートの中でとくに長いルートになるので、ここだけ20合ということに影響しているのではないでしょうか」
なお、前宮ルートだけは他の山道よりも古くからある道とのこと。磐梯山のように、何か言い伝えがあったのかもしれない......と想像が膨らむ記者であった。