「ゆかり」と「ひろし」が焼きそばになった! 広島が誇る名物ふりかけ、麺でも米でも魅力再発見
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百十一回 エースコック「三島のゆかり使用 塩焼そば」と「三島のひろし使用 だし醤油味焼そば」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百十一回目となる今回は、エースコックの「三島のゆかり使用 塩焼そば」と「三島のひろし使用 だし醤油味焼そば」をレビューします。

「ゆかり」と「ひろし」は、広島の食品メーカー「三島食品」が製造販売するふりかけと混ぜごはんの素です。
広島の三島食品のふりかけ「ゆかり」と「ひろし」
赤しそを用いたふりかけである「ゆかり」は三島食品の看板商品であり、広島県内のみならず、全国のスーパーなどで取り扱われている鉄板中の鉄板ふりかけとしておなじみ。
「ひろし」は、青菜「広島菜」を用いた混ぜごはんの素で、こちらも多くのお店で店頭に並ぶ定番商品となっています。
三島食品からは他にも、「かおり」「あかり」「うめこ」など、人の名前のようなふりかけや混ぜごはんの素が出ており、素朴なパッケージデザインとともに広く知られる存在ではないでしょうか。
以上のように、三島食品は広島の誇るふりかけメーカーです。そして、広島にはもう一社、田中食品というこちらもふりかけのメーカーがあり、東大寺の阿形と吽形が如くの広島の双璧となっています。
田中食品は「旅行の友」というふりかけが看板商品で、最近は混ぜごはんの素の「ごはんにまぜて」シリーズが、三島食品に負けず劣らず全国のスーパーで幅を利かせています。
どっちがどっちだかはわかりませんが、周瑜がいるのに孔明まで生まれてしまった広島の特殊なふりかけ事情は面白いです。
Jタウンネットの記事でもちょくちょく登場していますね。
「ゆかり焼そば」と「ひろし焼そば」の内容物

「ゆかり焼そば」と「ひろし焼そば」の内容物をみていきます。
別添袋はどちらも「調味たれ」と「ふりかけ」のふたつで、カップにはどちらも同じと思われる麺のみが入っています。

パッケージでは、「追いゆかり」や「追いひろし」を推奨。
「ひろし」といえば「クレヨンしんちゃん」や「ちびまる子ちゃん」に登場するお父さんキャラの定番の名前。「追いひろし」と聞いて、「ひろし」さんが追い出され、彼のいない食卓で、みんなでお寿司を食べて笑っている姿が思い浮かんできてしまいました。妙にリアルでかわいそうです。
「ゆかり」は......「オバケのQ太郎」に出てくるお姉さんがゆかりさんだった記憶が。確か、Q太郎がお世話になっている正ちゃんのお兄ちゃんの伸ちゃんの片思い中の同級生ですよね(古)。
......というのは冗談で、「追いゆかり」も「追いひろし」も夫婦喧嘩して家から「ゆかり」さんや「ひろし」さんが追い出されたわけではなく、「ゆかり」や「ひろし」を別に購入して追加で振りかけることが奨められています。
ただ、この手の商品は大抵、焼そばだけで味がきちんと成立しており、新たに味を追加してしまうと、盛大な蛇足感だけが残ると相場が決まっています(?)。
なので、どちらかというと販促目的なのかなといつも勝手に勘ぐっているのですが、今回はどうなのでしょうか。

ま、スーパーに行けば「ゆかり」も「ひろし」も100円程度で売られているので、一応買って試してみてもそれほど痛手ではないでしょう。
どちらも小さい袋だと量は少ないのですが、塩気は結構強いので1回に少量しか使わず、意外と長持ちしてお得感もあります。
鉄板ふりかけがカップ焼そばに!これは大勝利確定です

まずは、「三島のゆかり使用 塩焼そば」から食べていきます。
三島食品の看板商品である「ゆかり」を用いた、赤しそ味の塩焼そばとなっています。
看板商品なだけあってこれまでにも何度かカップ麺化されてきました。
本家の「ゆかり」ふりかけは、もちろんごはんとの相性が最強ですが、パスタやサラダなどに合わせても美味しい万能商品。ゆかり味の塩焼そばなんて食べる前から大勝利なのは疑う余地がありません。

ほんのりごま油が香る塩味のソースに、中細で緩やかに縮れた油揚げ麺と、赤しそやごまの入ったふりかけが合わせられています。
ソースは「ゆかり」らしい赤しその味はせず、ほんのりごま油が香る塩味で、あまり主張はありません。
麺も比較的ソフトな食感であまり自己主張はせず、基本的には赤しそ入りのふりかけの風味を立てる組み合わせとなっています。
ごちそうさま!白飯をください!

ふりかけには、乾燥赤しそ、粒ごま、ネギ。「ゆかり」と同じく白い塩の粒も視認できます。
穏やかに香るソースのごま油と赤しその風味が合わさり、上品な香りが感じられました。
「ゆかり」のふりかけはごはんにかけすぎると結構塩辛くなるのですが、今回のソースとふりかけのバランスは絶妙で、塩辛くなることなく香りの良さを堪能できました。

自分で用意した「ゆかり」を振りかけて「追いゆかり」をしてみました。
やはり、焼そばだけですでに完成していた味に「追いゆかり」をすると、ちょっと塩気が強くなってしまいました。
個人的にはあまりやる必要がないように感じられました。むしろ「追いゆかり」をしたことで「追いメシ」が欲しくなってしまいます。
オール広島の「ひろし」焼きそば

続いては、「三島のひろし使用 だし醤油味焼そば」を食べていきます。
「ひろし」は、2021年発売。三島の商品の中では新しい商品で、広島菜を用いた混ぜごはんの素です。
広島菜とは、漬物で用いられることの多い広島の野菜で、九州の高菜や信州の野沢菜と並び、日本三大漬菜に数えられます。白菜の一種ですが、緑部分の割合がとても大きいです。見た目はチンゲン菜のほうが似ているかもしれません。
メーカーも材料も広島由来の、オール広島の商品といえるでしょう。

ほんのりとだし醤油やごま油を効かせたソースに、中細で緩やかに縮れた油揚げ麺と、広島菜や粒ごまの入ったふりかけが合わせられています。
ソースには広島菜の味は感じられませんが、醤油味なので「ゆかり」に比べると多少、味に主張があるように感じられました。
追いひろしは、涙なしには食べられない!?

ふりかけに入っている広島菜は、実際に「ひろし」に入っているものよりもややカットが細かく、塩味もおとなしめ。
ソースの醤油味と合わさって、醤油漬けの広島菜はこんな味なのかと想像が膨らみます。
ごま油と粒ごまが香りのアクセントとなり、風味豊かな焼そばに仕上がっていました。

さて懸案の「追いひろし」。食べてみると「ゆかり」同様に塩辛さが気になります。
決して「追い(出された)ひろし」を想像して流す涙がしょっぱいだけではなさそう。
また、「ひろし」はそもそもが混ぜごはんの素であり、温かいごはんと混ぜて蒸らし効果によって広島菜がやわらかくなるのですが、今回「追いひろし」をしてすぐに食べると、蒸らされていない青菜の硬さが少し気になりました。
「追いひろし」はせず、みんな仲良くが素晴らしいと思います。
炭水化物と塩分の過剰摂取に注意!
というわけで「ゆかり」と「ひろし」のカップ焼そばを完食。どちらも両者の魅力が感じられる良品でした。
ただ、「追いゆかり」や「追いひろし」をしてしまうと、残った「ゆかり」と「ひろし」でごはんが食べたくなってしまうので要注意です。

気づけば「ゆかり」と「ひろし」どちらも結構消費している上、麺にごはんにかなり食べ過ぎてしまいます。
筆者のように、炭水化物や塩分の過剰摂取にならないようにくれぐれもご注意ください。