自販機だし界隈に北海道から刺客あらわる! 函館産「ねこんぶだし」は豆腐を「茶碗蒸し化」させるすごいヤツ
函館産の昆布がそのまま入った濃厚な"だし"が24時間いつでも買える――そんな自販機が「東京」にあるとの噂を耳にした。
冷凍イタリアンや焼き芋など、これまで様々なユニーク自販機を巡ってきた記者としては、気になる話だ。
その自販機で売られているのは「ねこんぶだし」なる商品。販売元・函館カネニ(北海道函館市)公式サイトの商品紹介によれば、北海道函館産の真昆布を大釜でじっくりと昆布を煮出す「ストレート抽出法」という方法で出汁にしているもの。
昆布自体をミキサーにかけて濃縮エキスを作り、それをダシとして製品化していることが多い一般的な昆布だしと比べると、昆布本来の旨味や濃厚さを感じられるのだとか。
函館の会社が作った函館の昆布を使った出汁を、どうして都内の自販機で販売しているのか。
記者は5月26日、函館カネニ・代表取締役社長の藤田公人さんに話を聞いた。
24時間いつでも買える
「ねこんぶだし」の自販機が設置されたのは、2022年3月ごろ。23年5月時点では3機あり、その全てが都内にある。
「店舗を持つよりも場所代や人件費などのコストを削減することが可能で、かつ24時間いつでも買えるというメリットもあるため、設置することにしました」(藤田公人社長)
同社が販売する「ねこんぶだし」には、出汁のみの「青ラベル」と、出汁の中にさらに根昆布を封入した「プレミアム」の2種類がある。「追い根昆布」によって、保存している間も更に根昆布から出汁が出て、「青ラベル」よりもうま味が増して美味しくなるのだそう。
そして都内の自販機で販売されているのは、全てこの「プレミアム」!
実際にどんな味がするのか出汁......いや、確かめるしかない!
というわけで、記者はさっそく自販機が設置されているという場所の一つへと足を運んだ。
まろやかで飽きのこない味
やってきたのは、清澄白河駅(東京都江東区)。
駅から徒歩数分ほどの路地で、「ねこんぶだし」を売っている自販機を発見。値段は1本300グラムで1000円。
さっそく一本購入してお持ち帰り。お味噌汁や卵かけご飯に使うのも魅力的だったが、今回は出汁の味がわかりやすいよう、シンプルに豆腐にかけて食べてみることにした。
比較するために、調味料は「ねこんぶだし」と醤油の2種類を用意した。
まずは醤油をかけた方の豆腐を食べてみる。......うん、もちろん食べなれた冷ややっこの味だ。
そのままの勢いで今度は、「ねこんぶだし」をかけてみる。出汁自体に若干のとろみがあり、食べる前から濃厚な昆布の香りが鼻をくすぐった。
口に入れると醤油と比べるとまろやかな塩味で、飽きのこない感じの味。例えるなら、香りのいい上品な茶碗蒸しを食べているような感覚でとても美味だった。
濃厚で美味しい昆布だしが欲しい! そんなときはこの24時間いつでも買える「ねこんぶだし」の自販機が重宝するかも? 今回記者が訪れた清澄白河駅以外にはJR中野駅や京王線幡ヶ谷駅付近にも設置されている。