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世界遺産めざす岩国の名勝「錦帯橋」 裏側に潜む「見どころ」がたまらないので必見です

松葉 純一

松葉 純一

2023.06.05 08:00
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2023年5月15日、次のような写真が投稿され、話題になっている。いったいこれは何だろう。

「ひらが」さん(@hiraga_hiraga)のツイートより
「ひらが」さん(@hiraga_hiraga)のツイートより

投稿された写真には、こんなコメントが添えられている。

「錦帯橋の裏側は見た瞬間来て良かったと興f...感動した」

どうやらこれは、山口県岩国市の錦川にかかる名勝「錦帯橋」を裏側から見た光景のようだ。

錦帯橋といえば、優美な5連のアーチ橋であまりにも有名だが、裏側を覗くと、これほど精緻で複雑な構造物だったとは......。「ひらが」さん(@hiraga_hiraga)が投稿したツイートには、1万件を超える「いいね」(5月30日現在)が付けられ、こんな声も寄せられている。

「裏って、こうなっていたのか」
「裏側も見事な構造。頑丈なわけだ」
「職人技ですな」
「これは美しい」
「構造美。たまらん」
「これが日本の技術なんですよ!」
「こんな複雑な木組み作るのもすごいですよね」
「橋は裏側から観るとエモい......」

アーチ橋の見事な姿を鑑賞する人はいても、橋の裏側にこれほどの反響が集まるとは......意外と言えば意外だった。

Jタウンネット記者は投稿者「ひらが」さんと、岩国市役所・錦帯橋課に詳しい話を聞いた。

金物と木造のコントラストこそが魅力

投稿者「ひらが」さんが山口県岩国市の錦帯橋に行ったのは、2023年4月30日15時頃。初めての訪問だった。「ゴールデンウィークの前半で、また前日が雨だったのもあって、観光客の方も多く賑わっていました。さすがに橋脚の裏に回り込む人はあまりいませんでしたが、河川敷で遊ぶ人も多かったです」と語る。

「橋を見るのが好きで旅行先ではよく見ていますが、江戸時代から受け継がれる作り方の橋ということで、他の橋にはない個性がたくさんあって見ごたえがありましたね」
「木と『巻金』と呼ばれる金属部材のコントラストも、興味深かったですね。昔からの工夫の積み重ねの証である金物と木造のコントラストこそが魅力と強く感じられたのは、とても嬉しかったです」(「ひらが」さん)
「ひらが」さん(@hiraga_hiraga)のツイートより
「ひらが」さん(@hiraga_hiraga)のツイートより

次に、Jタウンネット記者は岩国市役所に電話した。世界遺産を目指す岩国市には、産業振興部内に「錦帯橋課」があるらしい。

錦帯橋の特徴を尋ねると、同課の担当者はこう答えた。

「『錦帯橋式アーチ構造』は、世界に例のない唯一のもの。これにより35.1メートルという破格に長い径間の木造アーチが実現しています」(「錦帯橋課」担当者)

錦帯橋課のオススメは「アーチ橋の真下からの見学」

担当者は、市公式ウェブサイトに「錦帯橋 世界遺産をめざして」というバナーがあるので、詳しくはそこをクリックして、参照していただきたい、と言った。

それによると、錦帯橋は、1673年、岩国3万石の3代領主・吉川広嘉によって創建されたと伝えられている。明の僧・独立より入手した、名勝・西湖の本に描かれたアーチ橋から、着想を得たそうだ。

同じアーチ構造でも、石造りの「アーチ式石橋」は縦長の輪石(アーチ型の石)を金属によって繋ぎ、密着させて、頑強なアーチ構造を実現させている。隋朝の時代の中国で造られた「安済橋」がこのスタイルだ。

一方、木材は材質そのものが柔らかいため、石と同じ組み方をしたとしても、必要な強度は得られない。そこで考案されたのが、桁、楔、梁、棟木などの部材を組み合わせた「錦帯橋式アーチ構造」だという。

岩国市観光振興課「写真ギャラリーIwakuni Photo Gallery」より
岩国市観光振興課「写真ギャラリーIwakuni Photo Gallery」より
「桁は橋脚からアーチの中央部に向かって、角度をつけながらせり出して重ねます。その角度の変化によって生れる隙間は、楔で埋めます。また、平行に並んだ5本の桁は、梁によって横方向に固定されます。こうして各橋脚からせり出した桁同士は、棟木によって中央部で繋ぎます。加えて、『巻金』で部材を束ねることにより、強度を高めています」(「錦帯橋 世界遺産をめざして」より)

「錦川沿いの砂利の河川敷を歩いて、アーチ橋の真下まで進み、橋の裏側から『錦帯橋式アーチ構造』の一端を見学するのが、実はオススメなんです」と、錦帯橋課の担当者は教えてくれた。

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