知る人ぞ知る千葉・内房「竹岡式ラーメン」 リニューアルしたてのカップ麺で、そのディープな魅力を探る
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百六回 ヤマダイ「ニュータッチ 凄麺 千葉竹岡式らーめん」
文・写真:オサーン
千葉県にはかなりキャラクターの濃いご当地ラーメンが揃っていますが、中でも富津地域発祥の「竹岡式ラーメン」は、千葉内外から多くの人を惹きつけるディープでホットな存在。ただ、全国区の知名度というわけではないので、カップ麺でなかなか再現されることはありません。
しかしヤマダイは2011年から「竹岡式ラーメン」のカップ麺を発売しており、まだご当地ラーメンとして現在ほど注目を集める前から着目していました。
千葉三大ご当地ラーメンのひとつ
「竹岡式ラーメン」は、「勝浦タンタンメン」や「アリランラーメン」とともに、千葉の三大ご当地ラーメンのひとつとして知られています。
3つともキャラクターの濃いラーメンですが、いずれも玉ねぎが使われているという共通点があります。
内房・富津発祥の「竹岡式ラーメン」は、チャーシューを煮た醤油だれに麺を茹でたお湯を入れて割ったスープ、誰が茹でても同じ仕上がりになる乾麺を使用、そして具の刻んだ玉ねぎなどが特徴。
お店によって、チャーシューだれを割ったスープや乾麺ではなく、それぞれ工夫が凝らされている模様です。
発祥となったお店は富津にある「梅乃家」や「鈴屋」とされ、そこから直系やインスパイア合わせて千葉県内を中心に多くのお店が派生。そしてこの商品は、「梅乃家」の推奨を受けています。
「梅乃家」や「鈴屋」は、千葉県にありながら東京都心から最寄り駅まで電車で2時間以上かかる上に、どちらも駅から遠く、お店に行って食べるにはかなり高いハードルが待ち受けています。
時間をかけて行かなくてもカップ麺で手軽に楽しめるのなら、とてもありがたい話ですよね。
プレスリリースによると、23年4月10日のリニューアル発売にあたって梅乃家の店主の協力も得ているようですが、「監修」や「再現」ではありません。
カップ麺で、お店のようなチャーシューだれに麺を茹でたお湯を足したスープを再現するのはなかなか難しそうですが......果たしてどんな仕上がりになっているのでしょうか。
「ニュータッチ 凄麺 千葉竹岡式らーめん」の内容物
「ニュータッチ 凄麺 千葉竹岡式らーめん」の内容物を見ていきます。
別添袋は3つで、うち1袋にはレトルトのチャーシューとメンマが入っていました。
ヤマダイの商品は、価格の割に高品質。良心的な価格設定が特徴です。
他社のノンフライカップ麺でレトルト調理品を使うと確実に300円近い価格設定になってしまいそうですが、ヤマダイだと250円程度で買うことができます。
先入れの「かやく」袋には、刻み玉ねぎがたくさん入っていました。
袋を開けた瞬間から玉ねぎの独特な香りが漂い、お湯を入れる前からジャブを打ち込んできます。
チャーシューだれが甘く香る醤油スープ
チャーシューだれを用いた真っ黒なスープの色味を再現した醤油味のスープに、細めのノンフライ麺、レトルトのチャーシューとメンマ、そして刻み玉ねぎが合わせられています。
湯気からはチャーシューだれならではの甘濃い香りが漂い、玉ねぎと合わせて「竹岡式ラーメン」の雰囲気が強く感じられます。
豚と鶏を合わせ濃口醤油を使用したスープは、さすがにお店のようなチャーシューだれをそのまま用いたものとは異なっていました。
甘濃い香りとは裏腹に、醤油のキレと胡椒によってキリッと引き締められており、見た目や香りほどの濃厚さはありません。
油脂はそれほど多くなく、味のコクは主に玉ねぎから出されているようです。
香りでチャーシューだれの濃厚さを演出しつつ、味はキリッとした醤油味という二面性を持ったスープでした。
麺は、中細でストレート形状のノンフライ麺。
麺表面につるみがある多加水麺食感ですが、細めなので主張はそれほどなく、スープの味を引き立てています。
お店では、ラーメン店としては珍しく乾麺が用いられており、カップ麺とも近しいものがありますが、お店の麺はカップ麺よりも太く、ガッツリと縮れもついているため、だいぶ形状は異なっていました。
今やレアな「レトルトチャーシュー」
お店では、チャーシューメンでなくてもチャーシューがたくさん入っており、スープも具もチャーシューだらけ。
さすがにカップ麺ではそこまで肉推しにはなっていないものの、レトルトチャーシューを使うことでその気概は見せてくれているように感じました。
以前は、カップ麺メーカーがこぞって高級カップ麺にレトルトのチャーシューを入れていましたが、最近は物価高のご時世もあってか、めっきり減ってしまいました。
ヤマダイ以外でレトルトチャーシューを見ることはほとんどありません。
個人的には、レトルトより乾燥チャーシューを大きくしてくれる方がうれしいのですが、まったくなくなってしまうのもそれはそれで寂しいものがあります。
刻み玉ねぎは風味も食感もとても強く、刻み玉ねぎを口に含むとスープの玉ねぎ味がさらに際立ちます。
お店では刻み玉ねぎが大量にかかっているのが特徴ですが、今回の刻み玉ねぎもかなり大粒で存在感がありました。
「凄麺」シリーズでご当地麺巡り
千葉三大ラーメンのひとつ「竹岡式ラーメン」をカップ麺で楽しめる数少ない商品。甘いチャーシューだれの香りや、レトルトチャーシュー、大粒の刻み玉ねぎにその雰囲気を感じ取ることができました。
「凄麺」シリーズでは、メジャーどころのご当地ラーメンはもちろん、結構マニアックなラインナップも充実しており、家にいながらご当地ラーメン巡りが捗ります。
まずは今回の商品で千葉・内房に「行ってみる」のはいかがでしょうか。